Asagi's Art News





謎のカーテン ~ ドレスデン国立美術館展2005年07月25日 10時35分15秒

200点以上の展示があったのだが、出会いたかったのは、ファエルメールの「窓辺で手紙を読む女」だけだった。この1ヶ月珍しく書籍などで知識を集め、満を持しての対面となった。

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不意を衝かれるように現る「窓辺で手紙を読む女」は、グリーンの壁を背景にして、控えめの金の額装が施され別世界の空気を漂わせていた。はじめに目に入ったのは、右側の大きなカーテン。あさぎが読んだ本には、このカーテンは、製作の途中から描かれたもので、はじめは壁にキューピッド、テーブルの端にレーマー杯(ワイングラス)があったらしい。

キューピッドを消したのは、手紙の内容をあいまいにするためだそうだ。でもどうして、カーテンで覆ってしまたのかと、しばらく眺めていたのですが、ふと女性の方に目を向けると、なんとなく窮屈な感じがして、なんと言うか秘め事を案じさせるような女性のときめきが伝わってくるような気がした。

それにしても室内に差し込む淡い光、窓にかかるカーテンの赤、窓枠の青、ドレスの黄色、タペストリーの緻密さとフェルメールの世界に酔ってしまい1時間近く眺めていたような気がする。時間が止まるとは、こう言うことなのだろうと思った。

※ドレスデン国立美術館展