Asagi's Art News





そのとき、時間が止まる ~ 上田薫展Ⅱ2005年08月06日 23時10分06秒

空中に浮かぶ玉子が割れて黄身と白身が落下する。まさにその瞬間を捕らえるた写真のような、いや、むしろ写真以上にリアルに描かれた作品には、論理的に証明される物理学の公式のようなシャープさを感じる。

上田薫の作品は、広告などに使われていたこともあり、商業主義的なイメージの先入観があった。しかし、広告のコピーなど無い作品と対面すると、持っていた先入観が間違っていたことに気がついた。

無機質の金属や透明の液体に写り込む周囲の光は、誰もいない室内で時間が止まってしまい、永遠の美を封印したような感じを受ける。スーパーリアリズムと称されているのだが、どちらかというとシュルレアリスムに近い思想を含んでいるのではないかと思った。

また、この展覧会の会場となった美術館は、ギャラリーのように小さく、訪れる人もたくさんいるとは思えないのであるが、良い作品を効果的に展示しようとする意気込みが伝わってくるようでとても好感が持てる。がんばって欲しいものである。

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※光と緑の美術館

彼女の事情 ~ 第11回秘蔵の名品アートコレクション展 きらめく女性たち2005年08月08日 23時00分25秒

絵を見るためにホテルに出向くのは、なんとなく変な感じであった。インフォメーションの人にどこが会場かと聞くと、さすが一流ホテルというような雰囲気で親切に教えてもらい、会場に着くと係りの人たちがそろって「いらしゃいませ」と頭を下げてくれたのだが、自分が場違いなところに来ているような感じがして緊張した。

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普段は、パーティーや披露宴を行っていると思われる会場には、ロココからはじまってルノワール、ピカソ、モディリアーニといった海外の画家、藤島武二、岸田劉生といった日本の洋画家、伊藤深水、鏑木清方といった日本画家の3つゾーンから構成されていた。どの作品も女性の肖像画なのであるが、それぞれ個性が異なりなかなか面白いものである。

たまたま会場に入った時がギャラリートークの時間と重なったらしく、学芸員の人がいろいろと絵の解説を行っていた。最初はおとなしく聞いていたのだが、途中で抜けさせてもらった。そもそも、あさぎの絵の見方は、感性にゆだねて全身で感じるようにしているので、その絵がどうしたこうしたという知識には、あまり関心がないのである。

では、気になった作品をあげてみると、やはり、キスリングの「スペインの女」だろうか。エキゾチックな顔立ちの女性が足を組み椅子に腰掛けているのだが、こちらを見つめる瞳とその視線に引き付けられてしまう。黒と赤の衣装が刺激的で誘惑されてるような気になってくる。何故そんな視線を投げかけるのか、彼女にどんな事情があるのか知りたくなってしまう作品である。

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モイーズ・キスリング「スペインの女」

※ホテルオークラ東京

黒の存在感 ~ ベルナール・ビュフェ展2005年08月09日 21時22分28秒

ベルナール・ビュフェのことは、何も知りませんでした。あれほどまでにキャンバスに黒を使うとは想像していませんでした。ポスターだけ見ると面長のピエロが強烈な個性を放っていることがわかりましたが、うかつでした。

展示構成は、人物画、風景画、静物画の3つのパートからなるとありました。はじめの人物画は、初期の作品も含まれてるため、インパクトはありますが、少し強いかなと思う程度のものでした。しかし、徐々に進むにつれキャンバスに占める黒の割合がましていき、輪郭線は太くなり、背景まで重く沈んで行きます。

油彩の黒は、水墨画のようなやわらかいものではなく、威圧を感じる存在感のあるものだと思います。その黒を使った作品が次々に現れると、さすがに参ります。特にビュフェの晩年の作品は、死をイメージさせいるものもありかなり辛かったです。普段ならどうして、そうのように感じるのかを探るのですが、今回はその余裕がありませんでした。

風景画で気になったのは、なぜか人物の姿がどこにもないこと。そのためかマンハッタンを描いた作品などは、廃墟のような雰囲気が漂ってきます。静物画では、昆虫を画面いっぱいに描いた作品が印象に残りました。黒い羽を広げた蝶などは、少し怖いですが、感じ方は人それぞれなので、あさぎだけがそう感じたのかもしれません。

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※損保ジャパン東郷青児美術館

今回から文章を「だ・である」から「です・ます」に変えてみました。あさぎは、主に「です・ます」を使うのですが、ブログということで「だ・である」にしていましたが、なんだか書きづらくて・・・

秘密は色鉛筆 ~ たむらしげるの世界展2005年08月10日 23時38分52秒

あさぎは、いま夏休みです。だから毎日どこかの展覧会に出かけることが出来ます。昨日は、ビュフェ展でさんざんでしてので、少しファンタスティックな世界が良いかと思い八王子まで出かけてみました。

たむらそげるの作品は、メディアでもたさん取り上げられていて人気があります。特に水、魚、鯨、鉱石、宇宙といったものを作品に取り入れ、なんとなくレトロぽい独特のやさしい世界観を作り出しています。

今回は、彼の手がけた絵本や映像の原画が展示されいて、前々から気になっていた作品が、何を使って描かれているかが判明したことは、大いに価値があったと思っています。

彼の作品は、実にいろいろなもので作成されていたのです。例えは、水彩、アクリル、CGのプリントアウトなど、中には布を使ったものもありました。そして、彼の世界を作り出すのに必要なものが、色鉛筆であるようです。例えば、CGのプリントアウトの作品をよく見ると、微妙な色を演出する部分に色鉛筆が使われていました。まさにデジタルとアナログの融合というような作品です。

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※八王子市夢美術館

ピカソ vs モディー ~ モディリアーニ ~真実の愛~2005年08月12日 11時56分09秒

モディリアーニ(モディー)役のアンディ・ガルシアがどことなくマフィアに見えてカッコいいのですが、あさぎとしては、傲慢で意地の悪いビカソ役のオミッド・ジャリリがどことなく好きだったりします。・・ということで、久しぶりに映画館に足を運んで見ました。そうそう、入れ換え制であることは、前から知っていたのですが、最近は事前に座席指定が出来るようになっているようで、便利になったものです。

ストーリーは、モディーとジャンヌの出会いからはじまって、ピカソとの対決がメインで進んでいきます。なんとなく恋愛作品というよりは、例えが悪いのですが「美味しんぼ」のような究極と至高の一騎打ちのイメージを持ってしまいました。これはこれで盛り上がっていてたいへん面白いです。

ジャンヌ役のエルザ・ジュルベスタインは、解説にもあるのですがモディリアーニの絵画の中から抜け出してきたような感じでとてもきれいです。しかし、ジャンヌのモディーに対する必死な思いとか、彼しか見えないといった感じの表現がいまひとつでラストの方で感情移入が浅くなってしまうのが残念です。

あさぎの印象に残ったシーンは、ルノワールのモディー自身の内面に関する質問に対してジェスチャーで答えるところと、役所でモディーが結婚証明書をもらうために窓口のおばさんと交渉をするところ。なにげない行為にモディリアーニの人間性が現われているようで好きです。ストーリーは、悲劇的に終わるのですが、どちらかというとスッキリした感じのする作品だと思うのはピカソとの対決での達成感があるからなのでしょうか・・

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アメデオ・モディリアーニ「ジャンヌ・エビュテルヌ」

※モディリアーニ ~真実の愛~
※シャンテシネ

キャラクターの魔力 ~ キティ・エックス2005年08月14日 14時56分25秒

あさぎのフォスターチャイルドもハローキティがお気に入りなのですが、この展覧会は、そのハローキティをモチーフとした現代アートが展開します。ですから、キティラーと呼ばれる方々には、あまり関心を抱かせない内容になっているように思えます。実際、展覧会に来ていたキティラーらしい女性は、足早に会場をあとにして行きました。

展覧会への参加アーティストは、50組程でそれぞれ個性的です。絵画やイラストはもちろんのこと、写真、ビデオ、ぬいぐるみ、被服類、乗り物、コンピュータグラフィックなどさまざまです。また、多様なインスタレーションも展開され、キャラクターのキティが無くともなかなか楽しめるのではと思ってしまいます。

いくつか印象的な作品をあげると、例えば、日比野克彦の作品は、小石にキティの顔を描きそれをいくつも床の上に並べ、どこにでもキティはいるのだと言いたげな感じを与えてくれます。清水寛子の作品は、影絵を使ったアニメーションでキティが音楽に合わせ絵を描くというもので、とてもコミカルで楽しい時間を与えくれます。また、写真では、キティのタトゥーを施した作品が多かったのですが、あさぎの好みとしては、小泉今日子の背中に描かれたキティがなんとなく良かったです。

それにしてもキティというキャラクターは、どの作品の中でも強い主張をしていて、その作品を支配しているように思えました。キャラクターの持つ魔力によって、アーティスト自身も影響を受ける不思議さを感じた展覧会でした。

※キティ・エックス
※そごう美術館

アメリカの青 ~ ロバート・ハインデル展2005年08月26日 21時49分01秒

現代のドガと称されているロバート・ハインデルですが、もちろん彼の作品は、ドガの踊り子達とは異なる響きを漂わしています。日本人バレリーナの吉田都がモデルになった作品が多く出品されてることや彼がアメリカ人といったことも関係あるようにも思えます。

モノトーンの画面にさり気なく置かれた青色が印象に残こりました。「The Blue Dress」という作品は、暗い稽古場でスポットライトに照らされて、青い衣装を着たバレリーナがスカートを棚引かせてポーズをきめる一瞬を描いた作品なのですが、青い花びらが開いていくような神秘的な感じを受けます。

アメリカ人が好きな色が青であることを誰かに聞いたことがあります。日本人のあさぎにとって青は、静寂とか冷たさを感じる色なのですが、アメリカ人には、どう受け入れられているのでしょう。唯一、あさぎが訪れたことのある外国がアメリカで、そのとき、国の豊かさや自由な精神にカルチャーショックを受けたことがあります。そんな国で活躍したハインデルの青とは、きっと違った意味を持つのだろうと考えてしまいます。

展覧会が1週間の会期でとても短いものの代官山というお洒落な場所で開催されたことはなんとなく嬉しいです。しかし、今年の7月にハインデルが亡くなっていたということは、非常に残念なことです。

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※ヒルサイドフォーラム
※アートオブセッション