Asagi's Art News





心を語る手 ~ 絵のなかのふたり2005年09月03日 22時44分20秒

やっぱり見たいと思うことがあり、終了間近の展覧会に駆け込むときがあります。この「絵のなかのふたり」という展覧会もそうでした。内容的には、美術館所蔵の絵画が中心ということで、出かけるつもりは、ありませんでした。でも、この「ふたり」というフレーズが、だんだん気になってきたのです。

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シャガール、ピカソ、ローランサンらが、異なるテーマで「ふたり」を描いています。恋人、母と子、画家とモデル・・、それぞれの場面で微妙な感情が交差ています。話題になるような作品は、無いのですが、さまざま感情が繋ぎあわされ、ひとつの作品のようになった展覧会だと思いました。

あさぎは、いつもひとりで行動することが多いので、「ふたり」を意識することは、あまりありません。しかし、この絵画たちから忘れていた何かを思い出すような、そんな気がしました。そこにいる誰かに自分のことを理解してほしい、それが愛情であれ、信頼であれ、憎しみであれ、そのことは人間の本質のひとつなんだと思いました。

それから、絵画の中に描かれている手の表情が相手に対する気持ちを表すのに、とても重要であるように思いました。恋人同士がが重ねるお互いの手、子供を包む母の手、何気なく相手に触れる指先、怒りに震える拳など、手のしぐさだけで「ふたり」の関係がはっきりと判ります。本当に画家とは、鋭い観察力があるものだと、改めて感心しました。

※ブリヂストン美術館