Asagi's Art News





心を語る手 ~ 絵のなかのふたり2005年09月03日 22時44分20秒

やっぱり見たいと思うことがあり、終了間近の展覧会に駆け込むときがあります。この「絵のなかのふたり」という展覧会もそうでした。内容的には、美術館所蔵の絵画が中心ということで、出かけるつもりは、ありませんでした。でも、この「ふたり」というフレーズが、だんだん気になってきたのです。

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シャガール、ピカソ、ローランサンらが、異なるテーマで「ふたり」を描いています。恋人、母と子、画家とモデル・・、それぞれの場面で微妙な感情が交差ています。話題になるような作品は、無いのですが、さまざま感情が繋ぎあわされ、ひとつの作品のようになった展覧会だと思いました。

あさぎは、いつもひとりで行動することが多いので、「ふたり」を意識することは、あまりありません。しかし、この絵画たちから忘れていた何かを思い出すような、そんな気がしました。そこにいる誰かに自分のことを理解してほしい、それが愛情であれ、信頼であれ、憎しみであれ、そのことは人間の本質のひとつなんだと思いました。

それから、絵画の中に描かれている手の表情が相手に対する気持ちを表すのに、とても重要であるように思いました。恋人同士がが重ねるお互いの手、子供を包む母の手、何気なく相手に触れる指先、怒りに震える拳など、手のしぐさだけで「ふたり」の関係がはっきりと判ります。本当に画家とは、鋭い観察力があるものだと、改めて感心しました。

※ブリヂストン美術館

コメント

_ M619 ― 2005年09月07日 00時11分11秒

あさぎさん、こんにちは。
TBありがとうございました。

私も「ふたり」ということばに惹かれて、この展示会を観に行ったひとりです。
そんなにたくさんの絵があったわけではないですが、色々な画家が描く、色々な「ふたり」をじっくりと味わうことができました。
また、このような企画物をやってもらいたいですね。

話は変わりますが、あさぎさんは「モディリアーニ」をご覧にjなったんですね。
今週いっぱいの上映ということで、私は明日観に行く予定です。
あさぎさんの映画評、参考になりました。
今後とも、よろしくお願いします。

_ はろるど ― 2005年09月07日 00時46分31秒

はじめまして。
TBとコメントをありがとうございました。

>絵画の中に描かれている手の表情が相手に対する気持ちを表すのに、とても重要であるように思いました

なるほどそうですよね。
私の惹かれたシャガールの作品も、
手の寄り添う様に慈しみを感じました。
それも恋人の関係を美しく表現しているのかもしれませんね。

たくさんの展覧会をご覧になっているご様子で、
今後もまたよろしくお願いします。

_ リカ ― 2005年09月07日 01時08分58秒

コメント、TBありがとうございました。
同じ「ふたり」でもあさぎさんのお言葉どおり、画家の観察眼と画力によってさまざまな姿が描き出されていましたね。
それから、手については私は注目したことがなかったので、これから何かの絵を見るときは気を付けてみようと思いました。
また遊びに来させていただきますね。

_ lysander ― 2005年09月07日 01時27分53秒

こんばんは。
はろるどさんのところからたどりつきました。
『ふたり』をテーマに多くの画家の作品が観られて、
思いのほか充実していた展覧会だと思います。

私の感想をTBさせていただきますね...

_ あさぎ ― 2005年09月07日 22時06分17秒

>M619さん
コメント&TBありがとうございました。
「ふたり」という関係は、考えてみれば不思議ですよね。愛し合うにしても、憎しみ合うにしても、最大限で相手を意識するのですから。私も、また、こういう企画をしてほしいと思いました。

モディリアーニの感想は、申し訳ないのですが、少しネタバレしています。でも、見て頂けて嬉しいです。

_ あさぎ ― 2005年09月07日 22時25分05秒

>はろるどさん
コメント&TBありがとうございました。
私の感想に共感して下さって、嬉しいです。シャガールの作品では、寄り添い互いを包み込むような腕や指先が、とても印象的でした。優しい気持ちになれますね。
こちらこそ、よろしく願いします。

_ あさぎ ― 2005年09月07日 22時45分49秒

>リカ さん
コメント&TBありがとうございました。
実は「手」の表情が気になるきっかけは、ローランサンの作品を見ているときでした。彼女の作品ですが、見かたによっては、少し官能的で、絵の中のふたりの微妙な手のしぐさが気になったからでした。
こちらからもお伺いしますので、また、遊びに来て下さい。

_ あさぎ ― 2005年09月07日 23時04分13秒

>lysanderさん
はじめまして、コメントありがとうございます。TBがうまくいかなかったようで、lysanderさんのところにお伺いできなかったのですが・・残念です。

たしかに小さい展覧会でしたが、とても良い企画だったと思います。私は金曜日の夜に見に行ったのですが、あまり人もいなくて貸切のようでしたよ。

トラックバック

_ KINGDOM OF KATHARINE - 2005年09月06日 23時55分46秒

8/31、八重洲のブリジストン美術館で開催中の「絵のなかのふたり」展を観てきた。 「ふたり」は恋人たちだけじゃなく、母と子や画家とモデルなど5つの「ふたり」のセクションで構成されている。

_ はろるど・わーど - 2005年09月07日 00時42分59秒

ブリヂストン美術館(中央区京橋)
「絵のなかのふたり -シャガールから靉嘔まで- 」
7/16〜9/11

主にブリヂストン美術館の所蔵品から構成された、とてもコンパクトな展覧会です。展示のコンセプトは極めて明快で、美術作品の人物表現に見られる「ふたり」、つまり男と女や母と子、または性差にとらわれない関係を持った「二人の人間」を概観しながら、その間の物語を読み取っていくという内容でした。肩の力を抜いて楽しむことができます。

セクションは、「恋人たち」や「アトリエ作家とモデル」など、全部で5つに分かれていました。作品そのものよりも、総じて美術館による「見せ方」の面白さが優位に立つ展覧会とも言えるでしょう。靉嘔(Ay-O)による鮮やかな「虹のグラデーション」が目に飛び込む「アダムとイヴ」(1963〜67年)と、エッチングによって聖書の原罪のシーンが描かれたマーチンの「楽園追放」(19世紀)、または、ピカソと藤田嗣治の「二人の裸婦」(同じタイトルです。)などを並べて展示させることで見えてくるもの。意外な場所に不思議な接点を感じさせます。

作品には「小品」と言えるものが多く、深く印象に残るものが少なかったのも事実ですが、タイトルにもあったシャガールの作品にはやはり強く惹かれます。パンフレットにも載せられている「ヴァンスの新月」(1955〜56年)は、シャガールならではの鮮やかな美しい赤色をベースにしながら、夢見心地の安らぎの境地にあるような男女が、大空を寄り添いながら流れるように駆けています。また、底抜けの青が詩情を思わせながらも、どことなく不気味さを匂わす「枝」(1956〜62年)と、華やかな黄色が輝かしい「恋人たちとマーガレットの花」(1949〜50年)は、それぞれ「赤・青・黄」の世界に住む二人の男女の幸福感を思わせる作品で、並べて鑑賞できる嬉しさと相まって、大変に魅了されるものを感じました。シャガールは私が美術を見始めた頃から好きになった作家です。改めてこういう形で見せられると、彼の作品の素晴らしさを再認識できます。

この企画展に続く常設展の、各々重厚な作品群に押されてしまいそうな展覧会ではありましたが、コレクションを、一定の視点から切り込んで再構成しながら見せる企画は大歓迎です。9月11日までの開催です。

_ 気まぐれ映画日記 - 2005年09月07日 01時00分23秒

京橋まで来たついでに、初めてブリヂストン美術館にも行ってきた。ここのビルまで行ってやっと気付いたんだけど、銀座から東京駅までって思いのほか近いのね。時間があったので東京駅周辺を散歩してみたんだけど、後から余計に疲れることとなってしまった。
今やっている企....