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愛と友情 ~ 燈台守の恋2005年11月05日 23時06分46秒

だいぶ前からフランス映画を見たいと思っていました。フランスのもつ哀愁のような雰囲気を感じたかったのですが、なかなか機会がありませんでした。この作品は、以前モディリアーニを見に行った時に予告編を見て少し興味があったので、やっとと言った感じで見ることができた作品でした。フランス版「マディソン郡の橋」という書き方をする批評もありましたが、どうなんでしょうか・・。

燈台守の恋

娘のカミーユが故郷ブルターニュに戻り実家を売却するシーンから物語がはじまります。そこに母親宛に一冊の本が届きます。その本には、かつて母マベと父イヴォン、そして燈台守になるため村にやってきた男アントワーヌが繰り広げる恋愛と友情の話が・・。どの国でも同じように、小さな村の共同体は、よそ者をなかなか受け入れることはしません。父イヴォンも最初は他の村人と同じように、アントワーヌを拒絶しますが、アントワーヌの態度や人柄に心を開いて行きます。そして、母マベもまた彼に興味を抱き、やがてそれは愛に変わる。複雑な大人の恋ですね。

イヴォンは、無骨な燈台守で長い燈台守の仕事の合い間に椅子作りをして過ごします。とっても哀愁があって好き場面です。本来この作品は。マベとアントワーヌの禁断の恋の話なのでしょうけど、その狭間にいるイヴォンという男の心模様にも深くスポットを当てているようでした。妻と友との関係を知ってしまい、戸惑うさまは残酷と言うほかないではないでしょう。その後の彼の人生や妻への愛はどうなってしまうのでしょうか・・。優しさと強さを持つ人間でなければ乗り越えられない壁があるような気がします。

ところで、ブルターニュ地方というとフランスの西側に突き出た半島のようなところだそうです。風が強く波も高い船の難所で、映画の中でもその自然の威力が際立つように描かれています。この激しい場面は、なんとなく見たことがと思ったいたのですが、これは写実主義の巨匠クールベの描く「波」ようだと気がつきました。薄明かりの空に激しい波、まさにクールベの世界がそこにあるようです。

波
ギュスターヴ・クールベ「波」

※灯台守の恋

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