Asagi's Art News
北の国の至宝 ~ プーシキン美術館展 ― 2005年11月19日 18時39分16秒
聖夜にはまだ1ヶ月もあるというのに街では、いろとりどりのクリスマスツリーが輝きはじめました。風が冷たく感じる季節の朝に待ちに待ったプーシキンのお宝に会いに上野まで出かけていきました。
混むことは、予想していましたが、すごい人気です。
ルノワール、モネ、セザンヌと印象派の三役が揃っての前半は、やはり見ごたえがあります。それぞれの個性が光っています。
その中でもモネの『白い睡蓮』は、あさぎの出会った彼の連作の中でも最も明るく美しい作品でした。浮世絵から影響を受けた太鼓橋の周りの緑が輝いていて、新緑の季節に引き戻されてしまいます。
少し進むとゴッホとゴーギャンが2階への吹き向けのところに待ち構えていました。
あさぎは、ゴッホは好きなのですが、彼を見捨てたゴーギャンには、あまり好感をもっていませんでした。ところが、そこにあった作品からは、その印象を消し去る何かがありました。
作品には、『彼女の名はヴァイルマティといった』という少し長めのタイトルがついていて、褐色の肌の女性が裸で腰掛けてタバコを手にしています。ゴーギャンが最後に愛したタヒチでの作品です。
ポール・ゴーギャン「彼女の名はヴァイルマティといった」
その女性と独特の色彩で南国タヒチの風景が不思議に溶け合い神秘的な印象を与えてくれます。静に波音だけが聞こえ、穏やかな感じがします。
解説では、彼女はタヒチの神話に伝わる神にみそめられ女神となった女性を意図的にエジプト風に描いたそうです。南国に伝わる神話には、どことなく興味が沸いてくるのが不思議です。
南国の自然の中で自由を手にした。そんな感じがしてきます。
2階に上がるとナビ派、アンティミスト作品があり、人込みが一段落するとあのマティスの『金魚』が姿を現します。中央に置かれた金魚鉢、バランスの取れないテーブル、そして、周りに広がっていく風景に圧倒されます。40年ぶりの来日に感謝です。
後半は、巨匠の版画の展示からはじまり、フォービズムとキュビズムの世界へと流れていき最後にピカソで締め括られていました。これだけの作品を集めるのですから、人気が出るのもうなずけます。
あさぎは、この展示会の中でちょっと気になった作品がありました。それは、象徴派のカリエールの『母の接吻』という作品です。
ウジェーヌ・カリエール「母の接吻」
モノクロの世界の中で静に抱擁する親子の姿は、愛情と慈しみがにじみ出ています。優しく抱き締め、手と手を重ねることで絆を確かめあう愛が伝わってきます。薄明かりの中に浮かび上がっている人物は、本当はゴーストで、描いたのは、魂だけなのかもしれないと思わせる作品で深く印象に残りました。
※東京都美術館
※朝日新聞
混むことは、予想していましたが、すごい人気です。
ルノワール、モネ、セザンヌと印象派の三役が揃っての前半は、やはり見ごたえがあります。それぞれの個性が光っています。
その中でもモネの『白い睡蓮』は、あさぎの出会った彼の連作の中でも最も明るく美しい作品でした。浮世絵から影響を受けた太鼓橋の周りの緑が輝いていて、新緑の季節に引き戻されてしまいます。
少し進むとゴッホとゴーギャンが2階への吹き向けのところに待ち構えていました。
あさぎは、ゴッホは好きなのですが、彼を見捨てたゴーギャンには、あまり好感をもっていませんでした。ところが、そこにあった作品からは、その印象を消し去る何かがありました。
作品には、『彼女の名はヴァイルマティといった』という少し長めのタイトルがついていて、褐色の肌の女性が裸で腰掛けてタバコを手にしています。ゴーギャンが最後に愛したタヒチでの作品です。
ポール・ゴーギャン「彼女の名はヴァイルマティといった」
その女性と独特の色彩で南国タヒチの風景が不思議に溶け合い神秘的な印象を与えてくれます。静に波音だけが聞こえ、穏やかな感じがします。
解説では、彼女はタヒチの神話に伝わる神にみそめられ女神となった女性を意図的にエジプト風に描いたそうです。南国に伝わる神話には、どことなく興味が沸いてくるのが不思議です。
南国の自然の中で自由を手にした。そんな感じがしてきます。
2階に上がるとナビ派、アンティミスト作品があり、人込みが一段落するとあのマティスの『金魚』が姿を現します。中央に置かれた金魚鉢、バランスの取れないテーブル、そして、周りに広がっていく風景に圧倒されます。40年ぶりの来日に感謝です。
後半は、巨匠の版画の展示からはじまり、フォービズムとキュビズムの世界へと流れていき最後にピカソで締め括られていました。これだけの作品を集めるのですから、人気が出るのもうなずけます。
あさぎは、この展示会の中でちょっと気になった作品がありました。それは、象徴派のカリエールの『母の接吻』という作品です。
ウジェーヌ・カリエール「母の接吻」
モノクロの世界の中で静に抱擁する親子の姿は、愛情と慈しみがにじみ出ています。優しく抱き締め、手と手を重ねることで絆を確かめあう愛が伝わってきます。薄明かりの中に浮かび上がっている人物は、本当はゴーストで、描いたのは、魂だけなのかもしれないと思わせる作品で深く印象に残りました。
※東京都美術館
※朝日新聞