Asagi's Art News





感じるということ ~ オラファー・エリアソン 影の光2005年12月23日 22時59分26秒

品川は新しい街というイメージがあって、以前から気になる存在でした。それから、そこにある原美術館も素敵なホームページを持ち、モダンなたたずまいの建築で訪れてみたい美術館のひとつでした。

原美術館

オラファー・エリアソンというアーティストのことは、何も知りませんでした。しかし、『影の光』というタイトルには、何か感じるものがありました。絵画と違いインスタレーションには、動きが伴うものがあり作品の中に身を置き自分自身も作品になりうるところが魅力的です。

彼は、2001年の横浜トリエンナーレに参加したこともあるらしいのですが、日本での個展は今回が初めてであるそうです。デンマークのコペンハーゲンに生まれ、まだ30代後半の若いアーティストです。解説には、「光、水、風、温度といった、自然界に存在する基本的な要素を駆使し、自然現象を人々に体験させる」とあります。

9のインスタレーションが美術館の各部屋に展開します。1階から2階に行く踊り場の奥に『美/Beauty』という作品があるのですが、これには少し感動を覚えます。暗い部屋の中に霧のように降り続く水滴に光をあて、プリズムの原理で虹色のカーテンが目の前に展開します。

Beauty
オラファー・エリアソン「美/Beauty」

外に居るかのように寒いのですが、静まり返った部屋の中に水滴が落ちてくる音が響き、絶えず変化する光のカーテンを見つめていると人工的に作られたものなのに何かが乗り移っているかのようにとても神秘的です。光と水が作りだすとても単純なものだからでしょうか・・。

この他に1階の部屋には、天井から吊るした金属やアクリルで出来たリングに光をあて、白い壁にその軌跡を描かせる作品「円を描く虹/Round rainbow」「色彩空間を包み込むもの/Colour space embracer」があります。光の軌跡は部屋を巡りこれも絶えず変化をします。部屋も暖かいこともあるでとても落ち着くことの出来る空間となりヒーリングを感じました。

2階に上がると奥の部屋から「ゴォー」という音が聞こえてきました。近づいていくと眩しいオレンジ色の光の部屋が現われ、音の正体はその部屋の入り口に取り付けられていた小さな送風機群からのものでした。作品は「単色の部屋と風が吹くコーナー/Room for one colour and Windy corner」と言い太陽をイメージさせるような輝きの部屋ですが、何処となく落ち着かないのは何故だったのでしょうか。

全てのものがシンプルであることから見ようによっては無機質な感じがするようにも思えるのですが、自然の中にある本来は身近にあるものであることから癒されるような感じも受けるのではないかと思いました。

※原美術館