Asagi's Art News





源氏の極彩色世界 ~ よみがえる源氏物語絵巻2006年03月07日 00時06分09秒

その日、NHKの日曜美術館のアートシーンを何気なく見ていました。源氏物語絵巻が当時の色彩を取り戻したとのコメントに反応してしまいふらっと出かけて見ました。五島美術館と言うと焼き物の扱う美術館というイメージがあったのであまり行く機会がないと思っていました。

よみがえる源氏物語絵巻

上野毛の駅を出て環状8号線を渡ると閑静な住宅街というところにひっそり美術館はたたずんでいました。到着するとあさぎと同じようにテレビを見て来たという人が何人かいるようでした。テレビの影響はすごいと思わざるところでしょうか・・。

源氏物語絵巻は国宝で、この五島美術館と名古屋の徳川美術館に合わせて19点あるそうです。2000年頃から平成の復元模写としてプロジェクトがはじまって、今年で19点の復元が終ったとのことでした。

展示は、原本のデジタル画像と平成版の復元模写、そして昭和に行われた復元模写の3点をセットで展示しています。900年もの歳月はそこにあったであろう色が変化し失われています。そこに科学的な調査をして元の色を復元する作業が行われました。

しかしながら作品の復元にはプリンターなど近代機器が使われるのではなく人による手作業と言うのがなんともいいです。復元を行ったのは日本画家の加藤順子という人です。

彼女は科学調査でわかった細部のさらに自分の感性と実際に源氏物語絵巻が書かれた場所を尋ねることでパズルのような復元作業をこなして行ったようです。その結果細部に渡って鮮やかね平安の色彩が蘇りました。

御法
加藤順子「源氏物語絵巻 御法 復元模写、2005」

※五島美術館

すれ違う恋心 ~ 好きだ、2006年03月11日 23時15分32秒

暖かく春らしい日になって来て梅の花が咲き心地よい香りを運んでいます。映画はなかなか見に行くことがなく、日本映画となるとさらに少ない・・それは残念なことです。それから、別に恋愛映画を意識的に見ているわけではないのに気がつくと恋愛映画を見ています・・。

学生の頃は渋谷に良く映画を見に行きましたが、この頃は絵を見に行くだけでミニシアターが増えたことなど知りませんでした。宮下公園の向かいにビルがありました。そこがアミューズCQNという劇場だったのですが、ここが劇場とは最初気がつかず、渋谷も変わったと少し焦りました。

好きだ、
石川寛「好きだ、2005」

この映画、前日の夕刊の広告で知ってホームページアクセスして見ているうち本編も見たくなってしまいました。青空でなく雲の多い空に「好きだ、」のロゴが出る予告編、静かで懐かしい風景のような気がしました。

物語は、17歳の主人公のコウと彼女のボーイフレンドのヨースケとの微妙な関係を描いていきます。ヨースケは野球部を引退してギターを持ち曲を作り始めます。コウは、ヨースケの側にいて「同じとこばっか弾いているから、覚えたくなくても、覚えちゃった」といいヨースケに心を寄せようとします。

ヨースケは、そんなコウの気持ちをどう思っているのか・・、コウの姉にあこがれます。コウは、複雑な気持ちでヨースケと姉の間を取り持とうとしますが、ある日の事件以来コウとヨースケは別々の人生を歩くことに・・。

そして34歳になったある日、ヨースケは音楽関係の営業の仕事について何か忘れ物をしてしまったような日々を送っていました。そこに突然、コウがギターをもってスタジオに現われます。そして過ぎてしまった日々の記憶が少しづつ蘇っていきます。

学生時代にお互いの気持ちを伝えられない状況は、あさぎにもあったかも知れないなど思い返したりします。いつも一緒にいて話をしていても自分の気持ちにも気がつかない。そして時間が過ぎて再び巡り会う・・。

きっと、誰にでもあることなのかも知れないと思ってしまいますが、2人にとっては特別なこと何だろうと感じます。再会したとき、例えばお互い家庭を持っていたりすれば、あの時は「好きだったんだよ」とさらっと言えるのでしょうが、そうでなかったら簡単には言えないと思います。

その人が側にいなっかた時間を埋められるだけの心の交流が出来るとしたら、きっと好きだったことを話せるのだろうと思いたいです。はたして、あさぎにもそんなときが来るのでしょうか・・。

※好きだ、

アルプスの山々 ~ スイス・スピリッツ2006年03月26日 20時57分17秒

ワールド・ベースボール・クラシックの優勝の余韻を残したままプロ野球の開幕や高校野球がはじまっていつの間にか日本中が野球一色と言った感じです。誰もが勇気と希望をもらって元気になって、桜の花が咲きはじめちょっと良い気持ちになるこの頃です。

春休みの季節になり期待の展覧会もいくつかありますが、スイスの絵画という少し変わった企画を渋谷で行っていたので出かけてみました。この展覧会では、アルプスの山々を描いた18世紀後半から現代に至る作品に会うことができます。

写実主義の荒々しい作品からはじまり印象派からモダニズム、ポップアートと各時代の影響を受けた作品の中には、静かにたたずむアルプスの山々があります。もちろん、はじめて知る作家達が大半でした。

あさぎは、本当のところ山はあまり好きではないので印象に残っているのは山々をメインに描いた作品ではなく、背景として描かれてる『イチゴを持つ少女』という作品でした。

イチゴを持つ少女
アルベルト・アンカー「イチゴを持つ少女、1884」

19世紀後半に描かれたこの作品は、同名の小説を題材にして描かれたものらしいとのことです。イチゴの入った籠を持ちこちらを見つめる少女からは、何かがはじまるような感じがしてきます。

この作品は描いたアンカーという画家は、もともと子供たちや日常風景を得意としていたようで、山々を描くことをメインにしたこの展覧会の中でも少し違った立場の画家と言えるでしょう。しかし、その背景には、しっかりスイスの山々と湖が描かれています。この土地に生きるということがことが伝わってくるようで素敵な作品でした。

※Bunkamura