Asagi's Art News





絵画の妖気 ~ ウィーン美術アカデミー名品展2006年10月03日 00時38分12秒

この秋も新宿で古典絵画に、出会うことができました。しかし、何百年も生き続けている古典絵画たちは、独特のオーラで見るものエネルギーを吸い取って行く強い力を持っているような気がします。ルネッサンスから写実主義の時代までウィーン美術アカデミー付属絵画館に所蔵されている作品が出迎えてくれます。

展示は、オーソドックスな歴史順で、同じ作者の作品がまとまって見られます。どの作品も重みがあり修復、保存状態がすばらしいものばかりです。やはりはじめに目を引くのは、ルーベンスの「三美神」です。ルーベンスの時代の官能的な美がそこにあります。

いまのスーパーモデルとは、正反対の体系ですが、優雅さと豊かさに満ち溢れ怪しいエロスを感じます。スーパーモデルも美しいですが、どちらかと言えばこの時代の女性の方がセクシーだと、あさぎは思います。

肖像画、静物画、風景画とさまざま作品が紹介されていきます。そして、誰もが必ず足を止める作品がレンブラントの肖像画です。背景の黒、衣装の黒・・・本物を見なければけして判らない微妙な光の表現は、生気を吸い取られるような怪しさを漂わしています。自画像とは、違った職人としての天才ぶりが見てとれる作品です。

ウィーン美術アカデミー名品展
レンブラント・ハルメンス・ファン・レイン「若い女性の肖像、1632」

あさぎは、ここまで来て少し息切れをして、椅子で休憩となりました。気をつけてはいましたが、数百年に渡って生き残ってきた絵画の放す妖気をまともに感じてしまいました。古い絵画は、描かれてからさまざまな人々の歓喜、悲哀、欲望、陰謀、憎悪などを吸収しています。油断をせずに相対することが必要ですが、まだまだ未熟者ですから彼らの力にはかないません。

※損保ジャパン東郷青児美術館