Asagi's Art News





元気と電気の神さま ~ 五條天神社&神田明神2007年01月01日 19時16分37秒

いつも助けてもらっている神さまに、ご挨拶に行って来ました。年が明けていたので、初詣になってしまいました。いろいろとお願いしているので、1か所ではすみません・・。

まずは、あさぎが「元気の神さま」と言っている上野の五條天神社です。なぜ「元気の神さま」か? それは、五條天神社には、薬祖神が祀られていて病気や怪我の回復、健康維持のご利益が東京でいちばんだからです。

自分の体ならばなんとかなると思うのですが、そうでない場合は神さまにお願いするしかありません。五條天神社は、上野公園の片隅にある優しい神さまです。そして、あさぎの好きな街である上野を守る神さまでもあります。

五條天神社

そして、神田明神は、全国的に知られ多くの人に愛される神さまです。あさぎは、個人的に「電気の神さま」と呼んでいます。もちろん、アキバに近いこともありますが、「電気の神さま」のほうが親しみを感じるからです。

なにも、あさぎだけがそう感じているのではないと思います。例えば、随神門に祀られてるている守護像は、松下電器の創業者松下幸之助から奉納されたものです。やはり、電気と深く関わっていると思います。

でも、神田明神のいちばんのご利益は、縁結びなんです。年間多くのカップルが結婚式をあげますし、事実、そのパワーはすごいです。お守りも可愛いですから、今年こそはと思う人にはお勧めです。

神田明神

「動」と「静」 ~ ノルシュテインの絵本づくり展2007年01月07日 22時45分38秒

新宿から西武新宿線で30分、可愛い美術館があります。いわさきちひろが、22年間を過ごした下石神井、2007年の最初の展覧会訪問は、ここからはじめることにしました。

ちひろ美術館

企画展は、ユーリー・ノルシュテインが作成した絵本の原画です。彼の作品は、絵本よりもアニメーションの方が、なじみがあるかもしれません。あさぎは、20年ぐらい前に見た『話の話』を思い出しました。

素朴で暖かいアニメーションは、日本のアニメーション以外に興味を持つきっかけになった作品のひとつです。作品の作成は彼ですが、絵本の原画は、フランチェスカ・ヤールブソワが描いています。今回は、ロシアの民話の『きりのなかのはりねずみ』と『きつねとうさぎ』の2つの作品を見ることができました。

きりのなかのはりねずみ
ユーリー・ノルシュテイン「きりのなかのはりねずみ、2000」

彼は、アニメーションと絵本の違いを「動」と「静」と言っています。しかし、「動」と「静」を使い分けることは、かなり難しいことだと思います。もしかすると、彼のアニメーションを見た人が絵本を見ると、ある違和感を持つかもしれません。だから、別々の作品として見る必要があるかもしれません。そうすれば、どちらもすてきな作品です。

常設展には、彼が選んだ「いわさきちひろ」の作品の展示もあり、とても楽しめます。それに、美術館のお庭にバラが咲いていて「ほっ」とする空間もあります。今年もたくさんの作品に出会えると良いなと思い、美術館をあとにしました。

※ちひろ美術館

白い滝 ~ 千住博展2007年01月08日 16時47分03秒

アメリカ(フィラデルフィア)の「松風荘」の襖絵になる絵を見れると言うことで、山種美術館まで行ってきました。とても風の強い日で雲の流れがとても速いのですが、すがすがしい一日でした。テレビ(新日曜美術館)の影響でしょうか、いつもよりもたくさんの人が集まっていました。

千住博については、テレビで知ったこと以外には何も知りません。日本画をベースにいろいろと挑戦をしてきている、そんな印象を持っています。今回、襖絵以外に初期の作品の展示もあり、なかなか興味深い人物であることが判りました。

彼の代表作となった「滝」のシリーズ、襖絵もこの「滝」です。流れ落ちる水の荒々しさと画面全体から漂う静寂感がとても心地よい感じがします。ライティングも凝っていて、照明を落とし滝にスポットを当て雰囲気を盛り上げています。

千住博
千住博「「松風荘」襖絵、2006」

テレビで知ったのですが、襖絵に使った絵の具は、なんとアクリル絵のだそうです。アメリカの気候に合わせた選択だそうです。たしかに、近くで見ると岩絵の具とは違った感じのする仕上がりでした。しかし、違和感はまったくありません。

背景の濃いベージュと美しい白い滝が、日本の美をアメリカに伝えて行くことでしょう。完成した「松風荘」を見ることはできないかもしれませんが、アメリカに住む多くの人に見てもらえると良いなと思います。

※山種美術館

風の強い日の午後 ~ 千鳥が淵2007年01月08日 22時38分03秒

山種美術館から千鳥が淵を見渡すように、皇居沿いに国立近代美術館まで歩きます。少し車の交通量が多いのが難点ですが、アートウォッチャーのカップルならなかなかのデートコースになります。

千鳥が淵

土手沿いは、桜の木がたくさんあるので、春にはピンクの花を咲かせるでしょう。桜の名所としては、山種美術館の裏の千鳥が淵の方が人気がありますが、ここも悪くないと思います。

しばらく歩くとレン作りの建物が現われます。国立近代美術館工芸館です。もともとは、旧近衛師団司令部庁舎だったらしいのですが、とてもきれいな洋館という感じです。国の重要文化財に指定されているようです。

国立近代美術館工芸館

工芸館は、名前の通り工芸品がメインであるため、まだ中に入ったことはありません。今回も素通りですが、いつか入ってみたいです。そして、左手に武道館を見て、国立公文書館を抜けると国立近代美術館に到着します。

輪廻転生 ~ 横山大観 生々流転2007年01月09日 23時32分32秒

「本日は、無料観覧日です」と、国立近代の入り口に書いてありました。なんとなく不安で「生々流転もですか?」と窓口で確かめてしまいました。すると受付の女性が笑顔で、「ご覧になれますよ」と答えてくれました。なんだかお年玉をもらったみたいで、とても嬉しくなりました。

「生々流転」は、過去に何回か見ていますが、一度にすべてを見るのははじめてです。全長40mの水墨画の超大作です。とても長いので終わりの方は、遥か彼方で霞んで見えます。そして、ゆっくりとその流れを追って行くことにしました。

山にかかる雲の雫からはじまり、小川ができます。下るにしたがい大河になり、さまざまなところを経て海に至り、波となり、最後には渦となる水の一生です。その壮大さには圧倒されます。言うまでもなく水の一生を、人生にたとえていることに気がつきます。

さまざまな出会いや別れと精神的な成長は、とてもドラマティックです。あさぎも人生の半分を過ぎていますから、なんとなく感慨深いです。激しい流れや険しい山は、濃い墨で描き、なだらかな流れや川辺の様子は、薄い墨で描いています。

ときどきあらわれる石像や鳥、人々の様子は、何を示しているのでしょうか? とても興味深いです。海は嵐となり、神である竜があらわれ、渦に飲み込まれる。この絵を描き終えたとき、大観はどんな思いだったのでしょうか?

生々流転
横山大観「生々流転(部分)、1923」

水は、再び雲になるのでしょう。そう、輪廻転生という言葉が思いだされます。人も水の一生のように人生を繰り返すのでしょうか? もし、そうだとしたらと、考えずにはいられません。

※国立近代美術館

クロとシロ ~ 鉄コン筋クリート2007年01月18日 00時30分01秒

どことなく懐かしい感じのする情景の世界ですが、ポップでリズミカルな感じがします。日本というよりもアメリカの日本人街のような雰囲気がします。これは、監督であるマイケル・アリアスが持っているアメリカンな感覚なのでしょうか?

鉄キン筋クリート
マイケル・アリアス「鉄コン筋クリート、2006」

再開発計画から取り残された宝町に、暴力と夢を持って暮らす2人の少年クロとシロ。彼らは、地元のヤクザやヤンキー、警察も巻き込み共存共栄の関係を築いていました。しかし、再開発を盾によそ者の新興ヤクザとトラブリます。変わり行く宝町でクロとシロは、必死に抵抗をしていく・・。

クロは、喧嘩も強く頭も良い少年です。そして、シロは、そんなクロが好きでとてもピュアな心を持った少年です。クロは、シロの世話をやき必死に守ろうとします。しかし、暴力がすべてである生活の中では、徐々にクロの気持ちは揺れていきます。敵の新興ヤクザからの攻撃を避けるため、大人のような振る舞いをしてしまうクロ。

シロのためと思い別れを選びますが、それはクロを狂わすことになっていくのです。シロは祈り、暴力だけでは解決できないことをクロに呼びかけます。想いが通じたとき、互いの欠けているものを知り補い合うことの大切さに気付くのです。

現実社会では、クロのように暴力で解決を見つけようとする人が増えてきています。シロの心を必要としながらシロの存在に気がつくことができないでいます。純粋な優しい心に出会うことは、現実社会では難しくなってきているのでしょうか・・。

※鉄コン筋クリート

様式化された美しさ ~ アルフォンス・ミュシャ展2007年01月20日 21時41分16秒

美しい女性と花や植物をあしらったポスターは、当時のパリでも注目を集めたことでしょう。アルフォンス・ミュシャは、そのデザイン性からアール・ヌーヴォーを支えるひとりとして、日本でも人気があります。

ミュシャ展
アルフォンス・ミュシャ「芸術:絵画、1898」

同じようなパターンに数多くのバリエーションを持っているところは、やはり商業性を感じますが、個々の作品はどれも個性を主張しているように思います。華やかな画面は、彼の故国であるチェコの歴史に相反するようにさまざま色であふれています。

思想と国境線の変化に揺れる当時のチェコ・・彼の晩年は、「スラブ叙事詩」をはじめ民族の歴史や愛国をテーマにした作品を多く生み出したそうです。 回顧展であることから、たしかに後半では、そのような感じがしないでもない作品がいくつかありました。

それにしても、彼の描く女性は美しいのですが、ちょっぴり物足りない感じがするのはなぜでしょうか? バランスが良すぎるのか、女性の体をものとしてデザイン化してるのではと思ってしまいます。

あさぎは、女性を描くからにはエロチックな部分が、多少あった方がいいと思っています。人は美しいだけでは、語れないとても複雑な生き物です。いろいろな部分が見え隠れするから味わいが出てくるのだと思っています。もしかすると、商業デザインということで、何か規制があったのでしょうか・・謎です。

※日本橋高島屋

きつねに会いに ~ 黒井健 絵本の世界展2007年01月21日 20時38分19秒

デパートでの展覧会は、いつもお祭りのような感じのする場所になってしまいます。銀座の松屋も例に漏れません。各地の名産品がひしめく中に展覧会場を見つけました。周りからなにやら美味しそうな匂いがしています。

黒井健は、パステルを使って柔らかで、どことなくノスタルジックな風景を得意としています。絵本をはじめ、挿絵、カレンダーなど幅広く活躍しています。あさぎも好きな画家さんで、ときどき彼のカレンダーを買い求めます。

その原画が見ることができる・・ちょっぴり幸せな気分です。展示は、彼の最近の作品からでした。少し残念なのは、「ごんぎつね」と「手袋を買いに」以外の原画が、全てそろっていなかったことでした。はじめて知る絵本もあるので、いつも楽しみなんですが・・。

さて、お目当ての「ごんぎつね」と「手袋を買いに」がなかなかできません。場内は、かなり混んでいて最初から見ようとする人でなかなか進みません。どの人も興味深く見て行くのですが、数が多いので(140点ぐらいありました)、やはり途中で疲れて来るようです。

徐々に人と人との間隔が空いてきました。「ごんぎつね」と「手袋を買いに」は、最後から2番目のところにあったのですが、そのおかげかスムーズに見ることができました。

ごんぎつね
黒井健「ごんぎつね、1986」

はじめて見るきつねの原画は、絵本よりも淡く暖かい。ふかふかのきつねの毛がとても愛らしく、新美南吉の世界が豊かに展開していきます。きつね以外の描写もすてきです。秋から冬に向かう季節感が、もの悲しさと期待を同居させます。

この日は、東京でも初雪が降りました。もちろん、積ることはありません。しかし、そんな日に大好きなきつねに会えたことは、とても嬉しいことです。寒かったですが、心はほかほかになりました。

※松屋銀座