Asagi's Art News





巨大なアートスペース ~ 国立新美術館2007年02月04日 23時55分27秒

暖かな冬は、梅の花の開花を早めています。それでも、風が吹くと肌寒さを感じます。1月にオープンしたばかりの国立新美術館、ネーミングの募集をしていましたが、何も変わることなくそのままです。

乃木坂の駅から直結の通路もできて、いよいよこれからという感じになってきました。楽しみな展覧会がいくつも計画されているようです。なんと秋には、憧れのフェルメールもやってきます。さっそく下見に出かけてみました。

国立新美術館

建物の設計は、黒川紀章。ガラス張りのうねるような形にメインゲートの三角錐が特徴的な大きな美術館です。国内最大級の展示スペースと所蔵美術品を持たないことが注目されています。

国立新美術館

1階から3階まで展示室があり、とにかく大きいという印象です。オープンで多くの人が来ているからでしょうか、レストランやカフェもほぼ満員でした。関係者ではありませんが、こんな状況が続いたらいいななどと思います。

アート見本市 ~ 20世紀美術探検2007年02月05日 23時54分11秒

国立新美術館のオープニングで、唯一有料の展覧会「20世紀美術探検」を見ることにしました。入り口で受け取った展示案内を見てびっくりしました。なんと展示スペースが、ゆうに3会場分あります。ビエンナーレ、トリエンナーレ並みの広さに唖然としました。

とりあえず、最初の作品が気になり振り向いてみると、部屋にセザンヌの「ラム酒の瓶のある静物」が1つだけありました。ものすごく贅沢な空間で、いよいよはじまるという感じを与えてくれました。

ラム酒の瓶のある静物
ポール・セザンヌ「ラム酒の瓶のある静物、1890」

次の部屋に行くと洋画と日本画の巨匠の作品が、次々にあらわれます。作品もさまざまに変化していくばかりか、その展示方法も同時に変化していきます。さながら、こんな展示もできると言ったアート見本市のような感じがしました。

展示会場は、大きく6セッションに別れますが、絵画、版画、素画、オブジェ、焼き物、現場再現、家具、映像、インスタレーションと、まさに20世紀の芸術を終結させたようです。もちろん主義や主張は、さまざまで印象的な作品もたくさんありました。

その個性たちの中、強いて象徴的な作品を1つあげるとすれば、マンセル・デュシャンの「泉」でしょうか・・あまりにも有名で、異論や物議が絶えないこの作品、ただの男性用の便器です。

泉
マンセル・デュシャン「泉、1917」

どこが芸術なのか・・20世紀の芸術そのものような作品と思います。感動とは別の驚きが、そこにあるような気がしました。芸術とは何なのか、その答えを探る新しい美術館の主題が見え隠れするような展覧会でした。

※国立新美術館

天才ルーキー ~ オルセー美術館展2007年02月07日 00時52分49秒

印象派と言えば、モネが中心となって確立された光の芸術です。オルセー美術館は、その印象派に関わる画家たちの作品を、数多く持っていることで有名です。ようやく東京にも巡回してきたので、さっそく出かけることにしました。

オルセー美術館展

展覧会を告知するポスターには、ゴッホの「アルルのゴッホの寝室」、前売り券には、モネの「すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ」が載っています。 自然にメインの作品がなんであるか暗示しています。しかし、この展覧会のメインは、なんとなくルノワールであるような気がします。

展覧会の最初の部屋では、まずルノワールの「ジュリー・マネ」があります。 少女と猫の肖像画で、ルノワール初期の美しく可愛らしい作品です。もし展示がこの作品だけであれば、メインは、モネであり、ゴッホだったかもしれません。

ルノワール
ピエール・オーギュスト・ルノワール「ジュリー・マネ、1887」

ところが、ルノワールの作品は、これだけではなく展覧会の中間点にあたる2階の部屋にさらにありました。そして、その作品は、女性ばかり好んで描くルノワールを裏切るように、男性の肖像が2点でした。「バジールの肖像」と「鉛筆を持つクロード・モネ」は、若きルノワールが、モデルの気質を正確にとらえ、その天才ぶりをあからさまにしている作品に思えました。

それを裏付けるように、ラトゥールの集団肖像が「バティニョールのアトリエ」に描かれるルノワール本人の姿は、天才ルーキー登場ような感じです。モネの描く姿を凝視するその姿勢に、情熱と希望を見ることができます。そこからは、彼のなんとも言えぬオーラが伝わってくるようです。

ラトゥール
アンリ・ファンタン・ラトゥール「バティニュールのアトリエ、1870」

※オルセー美術館展

カシペン ~ Heart Craft2007年02月09日 22時41分35秒

携帯を買い替えました。最新型でワンセグというものまで付いています。でも、そんな機能は、どうでも良かったのでした。買い替えを決意させたのは、携帯の中に住んでいるペンギンたちでした。彼らは、『カシペン』と呼ばれています。

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携帯の製造メーカーであるカシオのペンギンだから『カシペン』なのだそうです。それは、ともかく可愛いんです。いろいろ調べてみると、なんと彼らの絵本があったのです。さっそく探しに出かけました。

小さな文庫サイズの絵本で内容は同じですが、本の色が5色ありました。グリーン、ブルー、オレンジ、レッド、イエローです。チョイスしたのは、温か味のあるオレンジでした。デザイナーである城聡子のメッセージが込められているようです。

Heart Craft
城聡子「Heart Craft、2006」

「使うひとの幸せになれる、携帯電話でありたい」、これが『Heart Craft』とした意味だそうです。大量に消費される工業製品の中で、作り手の気持ちを知ることはなかなかできません。ものがあふれ便利であれば良いという考えかただけでは、もしかしたらメーカーは生き残れないのかもしれません。

あさぎは、このカシペンたちと毎日楽しく過ごしています。携帯を開くたびにカシペンたちは、小さな世界でドタバタと暮らしています。小さな幸せの積みかさねが、いずれ大きな幸せを運んでくる・・、そんなような気がします。

※Heart Craft

さようなら ~ ソフィテル東京2007年02月10日 23時30分50秒

ネットニュースに「菊竹氏、黒川氏設計のホテル、経済情勢に勝てず短命に終わる」という記事を見つけました。このホテルとは、上野のソフィテル東京と六本木の六本木プリンスホテルのことです。前にも書きましたが、メタボリズムという建築思想にもとづいて設計された建物です。

独特のデザインで、存在自体に賛否が絶えませんでした。ですから、あさぎの好きなソフィテル東京もすごく目だっていました。バブルの塔とも言われていましたが、そのモミの木のような姿は、とても印象的です。

ソフィテル東京

そのニュースによると、昨年閉鎖が決まり解体になるそうです。一般には、立地条件が良くないのですが、あさぎにとっては、上野の美術館に近く上野公園を見渡せるすてきなホテルだったのですが・・残念です。

ひとつのフロワーは、4部屋と少なくリッチな気分にさせてくれます。室内は、落ち着きのあるインテリアでまとめられ、アメニティなども充実していました。2階にあるレストラン『プロバンス』は、カジュアルフレンチスタイルでスタッフも親切、礼儀も正しくて居心地が良かったです。

展覧会にあわせてお泊まりすると、至福な時間が過ごせるのでしたが、しかたがありません。最後ですのでお部屋から見えた上野公園を貼り付けてお別れとします。さようなら、ソフィテル東京。

ソフィテル東京

※日経BP
※建築マップ