Asagi's Art News





ふたりでいること ~ モディリアーニと妻ジャンヌの物語展2007年05月20日 23時50分46秒

とても悲しい結末ですが、そこには愛がありました。やっぱりジャンヌは、モディリアーニと一緒にいたかっただけったと思います。それがすべてのような気がします。

渋谷の人ごみをさけBunkamuraに行くにはどうしたら良いか? 答えがありました。東急本店行きの送迎バスです。セレブなおば様たちと送迎バスに乗ること5~6分あまり、気持ち良くBunkamuraに到着です。

それはさておき、展覧会ですが大好きなモディリアーニとともに、今回はジャンヌの作品も一緒に展示されていました。画家としてのジャンヌを意識するのは、初めてなのでとても楽しみです。展示は、オーソドックスな時代順で、彼らが出会う前の作品から最後の時を迎えるまでの作品を見せてくれます。

ジャンヌの作品は、とても敏感な感じがして、初期の作品などはずいぶん背伸びをしているようにも思えます。やがて、モディリアーニと知り合い彼の作品に影響されはじめてくるのがおもろいです。彼と同じように長い首も作品に登場してきます。

展覧会の印象として、ジャンヌの作品を配置することによって、モディリアーニの作品がより愛に満ちた作品に思えるのが不思議です。互いの作品が共鳴する場にいるようで、とても暖かな感じが伝わってきます。

後半にモディリアーニが描いたジャンヌの肖像が、3枚並んでかかっていました。瞳がはっきりとした作品、帽子をかぶり瞳がない作品、ボッチチェリのビーナスを思わせるような作品です。

どれもすてきですが、彼が愛したジャンヌはどれなのかなど考えてしまいます。画家としての視点で考えれば、美の象徴のビーナスではないでしょう。また、苦労して積みあげて完成させた瞳がないジャンヌもいいのですが、喜びという感じでは違います。

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アメデオ・モディリアーニ「赤毛の若い娘、ジャンヌ・エビュテルヌ、1918」

やはり、彼女が振り向いた一瞬をとらえ、しっかりと瞳のあるジャンヌが彼の愛したジャンヌのような気がします。モディリアーニに微笑みかけいつも傍にいる。そんなとことろを彼が愛していたように思います。

そして、ジャンヌの作品で衝撃的なのは、最後にある水彩画の3枚です。彼の死を知ってから描いたもので、死を思いおこさせるようなモチーフがとことどころあります。

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ジャンヌ・エビュテルヌ「モディリアーニとジャンヌ・エビュテルヌ、ニースにて、1920」

不幸な思いの作品として見れば悲劇の光景ですが、彼らの愛を考えると必ずしもそうではないように思います。ふたりでひとつである愛を貫くためには、悲しい結末でも良いような気がします。

大事なのはふたりでいること、そのためにすべきことをする。そのことを宣言したのが、彼女の描いた最後の作品なのだと思います。とても強い意思を感じます。

※モディリアーニと妻ジャンヌの物語展