Asagi's Art News





美術論? ~ 森村泰昌 美の教室、静聴せよ2007年08月26日 23時56分41秒

コスプレおじさんのイメージが強い森村泰昌ですが、はじめての大掛かりな個展とのことでした。インスタレーションと言うには、少し理屈っぽい美術論を展開する珍しい展覧会でした。

森村泰昌

まず会場に入ると鑑賞にあっての細かい指示があります。彼は、今回の展示を学校の講義と位置づけ、ホームルームからはじまり1時間目から6時間目と講義をして最後にテストまで強要します。

音声ガイドをホームルームの前に渡され、彼の講義を聞きながらの作品に対面していきます。美術は自由に見るのと考えられていることに疑問を投げかけ、製作側の意思通りに見せることが目的のようです。

彼自身が作品の中にあって、論理で知性を揺さぶります。フェルメール、ゴッホ、ダ・ヴィンチと美術史の中でも重要とされるものを選んで、この角度から見て、こうように感じるべきと語りかけます。

確かに、鑑賞のしかたを指示されるのは、はじめてです。妙に違和感があって逆におもしろものになっていると思います。最後に三島由紀夫の市ヶ谷の演説に行きつくのですが、あぁ、なるほどと感じさせる知のインスタレーションがそこにあります。

最後のテストですが、最近よく目にする美術検定のような問題が出題されます。正解しても不正解でも卒業出来るようです。ちゃんと卒業証ももらえます。ここまで徹底して鑑賞者に介入する姿勢は、評価に値すると思います。

※横浜美術館

コメント

_ とら ― 2007年08月29日 20時04分43秒

不思議な展覧会でしたが、新鮮な企画のように感じました。

_ あさぎ ― 2007年08月31日 00時47分33秒

>とらさん

こんばんは、いつもありがとうございます。

今年のインスタレーションの中では、とびきり変で結構楽しました。コスプレと言うよりも、彼の場合は女装趣味的な感じがするのはなぜでしょうか・・。

トラックバック

_ Art & Bell by Tora - 2007年08月29日 20時05分57秒

  展覧会を授業形式にした珍しい試みである。エスカレーターで2階に上ると、いつもと違って、まず右折して準備室に入る。そこで無料貸出の音声ガイドを借りて、次のホームルームに移る。小学校のような小さい木の机と椅子が12個置いてある。椅子に坐って、ビデオでモリムラ先生の授業を聞く。来場者は「生徒」となっている仕組みである。とても空いていて、教室内はガラガラ。

 本を使ったインスタレーションのある廊下を通って、美の教室へ移動。会場の地図に主な展示作品のアイコンを張り付けてみた。クリックで拡大。1時間目:フェルメール・ルーム [絵画の国のアリス]
 ウィーン美術史美術館にあるフェルメールの...