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フェルメール・ブルー ~ フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展2007年10月24日 21時50分45秒

この秋も期待の作品がやって来ました。誰もが知っている作品、新美術館の意気込みを示す絶好の機会と言えます。東京には、2005年以来のフェルメールです。いろいろと盛り上がっているようです。

フェルメールとオランダ風俗画展

入り口は、いつものようにさり気なく中の様子を隠すように壁を作っています。さて、どの辺りにフェルメールを持ってくるのでしょうか楽しみです。待ちに待ったフェルメール・ブルーに会うことが出来ます。

まず、はじめにフェルメールと同時代の作品がならびます。大きな作品は少なく、豊かだったオランダの人たちが好んだ風俗は、とても良い状態のものばかりです。その中には、フェルメールの師匠と言われているヘラルト・テル・ボルフの「農民の衣装を身に着けた女」もありました。

貴族の肖像画と違い圧倒的な威圧感がないのが良いです。日本で言えば江戸時代のイキになるのでしょうか、家族の集まる部屋に飾ったらすてきな感じがします。そして、だんだんとフェルメールに近づいて行くと、液晶モニターが2つあり、なにやら解説をしています。

展覧会の中盤で音の出る動画を持ってくるのはあまり感心しませんが、いよいよと言う雰囲気を演出したのだと思います。モニターのある壁を回り込んだところに、どうやらフェルメールはあるようです。

1枚だけの展示でした・・・まず感動という前になんか遠いところにあるなと思いました。ダ・ヴィンチの展示と同じように前後2列で観覧ルートができていました。前列に行ってみましたが、やはり遠くフェルメールの繊細さがあまり感じられません。

牛乳を注ぐ女
ヨハネス・フェルメール「牛乳を注ぐ女、1658」

これはたいへん困った事態で、しかも歩きながら鑑賞するようにと指示をされていることで、彼の世界に入り込めません。美術館にもいろいろな事情があるのかもしれませんが、ちょっとがっかりです。

鮮やかな青、ミルクの雫、パンの細かさまで感動が届かずです。ガラスケースに入れても良いからもう少し近づかせてほしかったと思います。アムステルダム国立美術館で目の前で見せてくれている写真が羨ましかったです。

後半は、近代までの作品を集めていてなかなか良い作品もありましたが、さて、どうしたものかという感じでポストカードを買って帰途につくことになりました。これは、別の意味でのフェルメール・ブルーでした・・・

※フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展