Asagi's Art News





賢治の手帳 ~ 絵で読む宮沢賢治展2007年10月28日 22時43分34秒

宮沢賢治の手帳は、期間限定の公開ということで平塚まで行って来ました。高速で移動した台風のおかげで、すがすがしい秋晴れになりました。映像では何度か見かけていますが、本物はどんなものかとても気になります。

宮沢賢治展

美術館の企画展ですが、やはり童話作家であることから賢治の作品は、童話の原稿がメインになっています。来場している人も賢治ファンと思われる人が多く、貴重な原稿を見ては、しきりにメモをする姿がありました。

原稿にある賢治の筆跡は、意外に可愛い感じのするものですが、作家の原稿なのでところどころ校正あとがあって、なかなか興味深いものです。複製品もあるのですが、原稿のサイズはA4ぐらいの原稿用紙で、かなりコンパクトという感じがしました。

そして、あの手帳がありました。アクリルケースの中に11月3日の「雨にもまけず・・」の文字が綴られています。病床ということもあるのでしょう、筆跡からは、かなり辛そうな感じを受けます。

片手に収まるぐらいの小さな手帳です。大切に保管されているためか、とてもきれいな状態で賢治の生きる希望が刻まれいます。絵画とは違うのですが、ひとつひとつの文字とその配置は、詩人の持つ美的感覚があらわれているように思いました。

今回はこの手帳の他に賢治の描いた絵が、数点展示されていました。どこの山かは判りませんがそびえ立つ山、シュルレアリズムのような人物の水彩画は、独特の色彩と遊びがあるように思えました。

原稿用紙の裏に描いたのでしょうか・・・線だけで描かれたふくろうが可愛いです。こんな絵を学校の授業でも使っていたのかなと思いました。とても楽しい先生だったことが、伝わってきます。

ミミズクの絵
宮沢賢治「無題(ミミズクの絵)、大正~昭和初期」

展覧会の後半は、賢治の世界を絵画として表現した画家達の作品が展示され、さまざまな個性が賢治ワールドを作りあげていると感じることができます。水彩もあればパステルもある・・・どの作品も魅惑の扉を開く小さな鍵なのかもしれません。

※平塚市美術館