Asagi's Art News





グッド・ジョブ ~ 日暮里駅2007年11月03日 22時51分25秒

谷中には、お気に入りの和菓子屋さんがあって、良く出掛けます。しかし、谷中の入口にあたる日暮里駅は、現在もなお工事中です。ちょっと不便な駅ですが、なにやら楽しい書体の案内文字が出迎えてくれます。

新聞にも載ったその案内文字は、佐藤修悦さんと言う警備会社の警備員さんが作っているとのこと。工事の進み具合で次々に変化する案内文字は、なんとガムテープで出来ています。駅がきれいになる頃には、無くなってしまうのが残念な気もします。

日暮里駅

始まりました ~ 新宿高島屋タイムズスクエア2007年11月11日 23時03分48秒

新宿南口のドーナツ屋さんは、朝から夜遅くまで行列が絶えず大繁盛のようです。そして早くも新宿南口では、線路を挟んで高島屋タイムズスクエアと新宿サザンテラスのクリスマスイルミネーションが点灯しました。

街の紅葉もまだなのに気の早いような感じですが、とてもきれいな光景です。これから次々にクリスマスツリーやイルミネーションが輝きはじめると、今年ももうすぐ終わりなんだなと思ってしまうこの頃です。

タイムズスクエア

愛を確かめる瞬間 ~ フィラデルフィア美術館展2007年11月14日 00時34分55秒

フィラデルフィア美術館と言えば、映画『ロッキー』でロッキー役のシルベスタ・スタロンが、トレーニングの途中に美術館前の階段を駆けあがり、勝利のポーズをみせるシーンが思い出されます。

いろいろと騒動はありましたが一時期、その場所にロッキーの像を置いていたことでも有名です。いま、その場所にはロッキーの足跡だけがあるそうですが・・・

フィラデルフィア

観光名所のひとつにもなっているフィラデルフィア美術館ですが、どんな作品を持っているかは、いままで知りませんでした。今回は、印象派からエコール・ド・パリなどを中心に、日本人がもっとも好きな時代の作品をラインナップしてくれたようで、たいへん期待の持てる展覧会だと思っていました。

ただ、東京都美術館もかなり古くなってきたこと、階段を使ってのフロワー移動など、新しい美術館とのハンディを持っています。しかし、企画力においては長年の経験から安心感があります。それは、展示のしかたにも反映していて、この作品にはこの位置にというベストポジションを決めているようです。

例えば、最初の部屋には古典的な感じのマネを配置して、次の部屋には鮮やかモネの風景画を見せていき、ルノワールの繊細な肖像画まで変化をつけて行きます。2階のフロワーに続く広いスペースは、ゴッホとゴーギャンの指定席です。

さらに、2階にはピカソ、マチス、モディリアーニなどの自由な表現を、3階にはダイナミックな近代のオキーフやワイエスと、斬新ではありませんがこれが東美館という展示をしているところがにくいです。

このような展覧会では、やはりお気に入りを選ばなければなりません。意外ですが今回は、絵画ではありませんでした。プラシークの彫刻の『接吻』です。この作品、2階の細い通路の奥に突然あらわれるのもなかなか良いです。

接吻
コンスタティン・プラシーク「接吻、1916」

同じシリーズの作品がブリヂストン美術館にもあるのですが、フィラデルフィアの作品は、とても安定感があり愛らしくときめきを感じる作品です。男女が静かに抱き合い愛を確かめる瞬間を凝縮したこの作品は、誰もが足を止めて感慨深げに見入っていました。

まるで恋愛小説の一場面を形にしたような感じがします。なぜこれほどまでに愛し合い、信頼がゆるがないのでしょうか・・・そんな彼らの過去と未来を想像をせずにはいられません。

※フィラデルフィア美術館展

感動よりも疑問 ~ シュルレアリスムと美術2007年11月20日 00時25分54秒

不思議な世界を覗いてみたい欲望は、誰にでもあると思います。だからでしょうか? シュルレアリスムは、たいへん人気があります。いつも静かな横浜美術館、大繁盛とはいきませんが、ちょっとにぎやかでした。

シュルレアリスム

はじめは、やはりと言うか・・・キリコでした。シュルレアリスムとは厳密には違うと思いますが、その怪しい世界の入り口は、トワイライト・ゾーン(ちょっと古いかな?)のような感じがします。

いろいろと作品を揃えているのですが、どれが良いかと言えば、展示の前半に持ってきたマグリットです。あのバブルの頃に世界中から日本に集めたマグリット。申し訳ない気もしますが、良い作品がたくさんあって嬉しいです。

その中でも見たかったのは、もちろん宇都宮美術館の『大家族』です。海岸に大きな鳩のシルエット。マグリットのあの青空が真ん中にあります。展示位置の影響かもしれませんが、意外にくすんだ画面という印象でした。

大家族
ルネ・マグリット「大家族、1963」

これから訪れる冬を感じさせる寒そうな空気が伝わってきます。静かで音が無いような感じします。しかし、どうしてこの作品が『大家族』と言うのか? 考えてしまいます。この難解さが魅力なのだと思います。

見る者に感動よりも疑問を投げかける。その答えは、それぞれあってどれも違い、ひとつの謎が解けると新たな疑問が生まれる。永遠に終りそうにない哲学のようです。

※シュルレアリスムと美術