Asagi's Art News





愛を確かめる瞬間 ~ フィラデルフィア美術館展2007年11月14日 00時34分55秒

フィラデルフィア美術館と言えば、映画『ロッキー』でロッキー役のシルベスタ・スタロンが、トレーニングの途中に美術館前の階段を駆けあがり、勝利のポーズをみせるシーンが思い出されます。

いろいろと騒動はありましたが一時期、その場所にロッキーの像を置いていたことでも有名です。いま、その場所にはロッキーの足跡だけがあるそうですが・・・

フィラデルフィア

観光名所のひとつにもなっているフィラデルフィア美術館ですが、どんな作品を持っているかは、いままで知りませんでした。今回は、印象派からエコール・ド・パリなどを中心に、日本人がもっとも好きな時代の作品をラインナップしてくれたようで、たいへん期待の持てる展覧会だと思っていました。

ただ、東京都美術館もかなり古くなってきたこと、階段を使ってのフロワー移動など、新しい美術館とのハンディを持っています。しかし、企画力においては長年の経験から安心感があります。それは、展示のしかたにも反映していて、この作品にはこの位置にというベストポジションを決めているようです。

例えば、最初の部屋には古典的な感じのマネを配置して、次の部屋には鮮やかモネの風景画を見せていき、ルノワールの繊細な肖像画まで変化をつけて行きます。2階のフロワーに続く広いスペースは、ゴッホとゴーギャンの指定席です。

さらに、2階にはピカソ、マチス、モディリアーニなどの自由な表現を、3階にはダイナミックな近代のオキーフやワイエスと、斬新ではありませんがこれが東美館という展示をしているところがにくいです。

このような展覧会では、やはりお気に入りを選ばなければなりません。意外ですが今回は、絵画ではありませんでした。プラシークの彫刻の『接吻』です。この作品、2階の細い通路の奥に突然あらわれるのもなかなか良いです。

接吻
コンスタティン・プラシーク「接吻、1916」

同じシリーズの作品がブリヂストン美術館にもあるのですが、フィラデルフィアの作品は、とても安定感があり愛らしくときめきを感じる作品です。男女が静かに抱き合い愛を確かめる瞬間を凝縮したこの作品は、誰もが足を止めて感慨深げに見入っていました。

まるで恋愛小説の一場面を形にしたような感じがします。なぜこれほどまでに愛し合い、信頼がゆるがないのでしょうか・・・そんな彼らの過去と未来を想像をせずにはいられません。

※フィラデルフィア美術館展

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_ とんとん・にっき - 2007年12月07日 16時45分31秒

フィラデルフィア美術館展・チラシ表面


何度かこのブログにも書きましたが、僕がアメリカに行ったのはただ一度、卒業後研究室の先生から招集がかかって、研究室の仲間たちとアメリカ建築を見て回るツアーに参加したときのことです。1973年の夏、1ドル300円の時代でした。旅