Asagi's Art News





変化 ~ ムンク展2008年01月01日 18時16分55秒

『叫び』から受ける不安なイメージが強いムンクですが、以前に出光美術館で出合った作品からは、その強いイメージは受けませんでした。どちらかと言うとモデルを良く観察して描くような感じなのかもしれません。だから、いままでと違うイメージの世界を見せてくれる、そんな期待を込めて西洋美術館に向かいました。

ムンク展

『叫び』に至る初期の作品には、多くの人が受けるであろう重い世界があります。暗く沈むような孤立した世界です。生涯にわたって同じ題材を何度も描いているのですが、初期の『吸血鬼』などは、「生」と「死」の狭間にいる男女の危機せまる感じがします。

解説には、「生」ではなく「愛」とありましたが、「生」と「愛」は同義であると思います。もちろん「愛」にはいつくしむ心や恋しいと言った意味があります。しかし、「愛」は人がはじめから生まれ持っているものなのでしょう。「愛」が生まれ、「死」によって終わる・・・そんなことをムンクは思ったのでしょうか?

しかし、月日が過ぎていくと、その「愛」と「死」の追及は緩やかになっていくようです。北欧の自然豊か表情が画面にあらわれ、愛し合うものが抱き合い、風や木や子どもたちが踊ります。『吸血鬼』の画面でさえ暖かな色と柔らかい線に変わっていきます。

長い人生においてトゲトゲしていた心もいつの間にかなくなり、温和で優しい心に変わっていく。彼の作品からは辛い時ばかり続かない、いずれ幸せになれると言っているように思えます。良い意味で彼のイメージが変化したことは、たいへん嬉しいことです。

※国立西洋美術館

スイスの子供たち ~ アンカー展2008年01月14日 22時17分02秒

昨年のいまごろだったと思います。Bunkamuraでスイス(アルプス)絵画の企画展があり、はじめてアンカーの作品に出会いました。愛らしい高原の少女が、摘んだ花を持っている美しい写実の作品でした。

彼の作品は、観ていると心がほっこりしてきます。しかしながら、アンカーが生きた時代は、写実主義と印象派とが混在する変化の時代でした。さまざまな変化は、何も絵画の世界だけではなくあらゆるものが、近代へと進みはじめたころと言えます。

アンカーは、パリと故郷のスイスを往復しながら洗練された写実の作品を発表していきます。時代の変化とは関係ないように静かに・・・そこには、彼の愛したスイスの風景と子供たちがあります。

子供たちは、上流階級の子供でなくスイスのどこにでもいるような普通の子供です。そして、素朴な場面と子供たちの微妙な表情は、高度な技術と丁寧な仕事から作り出されています。時代が違えば、宮廷の肖像画家になっていたかもと思うほどの画力です。

アンカー
アルベール・アンカー「少女と2匹の猫、1888」

さて、あさぎのお気に入りですが、チケットの挿し絵にも使われてる「少女と2匹の猫」です。子猫を抱いた女の子の至福の一瞬と、性格の違う子猫がとても愛らしく思います。就寝前のひとときなのか、ゆったりした時間が流れているようです。

背景は暗いのですが、小さな部屋の片隅のような感じがします。明暗のコントラストから、とても優しい印象を感じることが出来ます。いたずら好きの子猫たちは、いまにも動きだしそうな感じがします。小さな幸せが、そこにあります。

アンカーがなぜ子供たちばかり描いたかのは判りませんが、故郷スイスにある本当の幸せをいつまでも残しておきたい、大人になると忘れてしまう何かを思い出さたかったのかもしれません。

※Bunkamura

謎かけ ~ 新宿の目2008年01月27日 23時38分40秒

街には、不思議なものがたくさんあるのですが、この「新宿の目」もそのひとつです。子どもの頃からあるのですが、ずっと何のためにあるのか不明のままです。この写真を撮ったホームページやブログを見かけることからも、この目が人々にインパクトと謎を問いかけているように思います。

宮下芳子というデザイナーの1969年の作品とのことですが、調べてみてもあまり良く判らないのが残念です。あるホームページには、「時の流れ、思想の動き、現代のあらゆるものを見つめる“目”」とありました。作者本人のコメントらしいのですが、これが新宿にあるということが何かの答えなのかもしれません。

新宿の目