Asagi's Art News





束縛と開放 ~ 蜷川実花展 地上の花、天上の色2008年11月17日 00時35分56秒

デジタル写真として加工をしていると思うような写真なのですが、実は何もしていないアナログ写真です。その画面は、とても色鮮やかであり開放的、そして、ほんの少し毒々しさも持ち合わせているように思います。

蜷川実花展

植物や昆虫を撮った写真、プロジェクターを使ったインスタレーション、タレントを撮ったポートレイト、そして初期の作品も含めて約500展と, かなりの圧巻です。もちろん、サイズや展示方法の工夫がされていて、楽しい感じにも思えます。

構図よりも色彩に目を奪われがちですが、かなり冒険的な感じのする作品があったりします。例えば、造花をわざと近写にすることで、本物であるのか、造りものなのかを迷わす・・・むしろ、まったく別の世界にしてしまっています。

蜷川実花展

インスタレーションは、今年出会ったビデオインスタレーションの中でもなkなか良いものであると思いました。金魚が泳いでいる姿を部屋いっぱいに映し出しているだけなのですが、すずやかな感じと水に漂う感じが良い具合にミックスした不思議さを持っています。

両サイドの壁には光るパネル(これも金魚の写真です)がランダムに配置されおり、これが水槽のような感じをかもしだしているところがとてもチャーミングです。鮮やかな色彩が十分に生かされている作品です。

そして、人気なのはタレントのポートレイトです。展示方法にも原因(かなり作品が密接している)があるのですが、列を作って見なければならいというオペラシティーとしては珍しい光景に出会いました。人気写真家の実力を知ったような気がしました。

知っているタレントの名前を出しながら楽しそうに鑑賞している人たちもいて、そういったことをあまり知らないあさぎにとっては、違った意味で良い勉強になりました。

数少ない売れる写真家であり、作品から受ける印象もかなりインパクトがあります。しかし、初期に撮ったと思われるヌードのセルフポートレイトの表情からは、束縛さている何から開放されたいような感じを受けました。

開放的に見えるが、実は束縛されている・・・いつもそのことが影として見え隠れしている。そんな感じがするのは、きっと彼女の経歴をまったく知らないからなのかもしれません。

※東京オペラシティアートギャラリー