Asagi's Art News





さくら咲く ~ 谷中霊園2009年04月05日 10時42分43秒

週末に合わせたように桜が一斉に満開になりました。街の中が明るくなる季節が今年もやって来ました。お花見もとっても大事なことのひとつだと思います。

谷中霊園

東京にはたくさんの桜の名所があります。いまのお気に入りは、上野公園から少し離れた谷中霊園。下町散策の人気で立ち寄る人も多くなってきましたが、まだまだ隠れた名所です。

谷中霊園

桜に元に集まり宴を開くのを、何故と問われ答えを出せる人が何人いるでしょうか・・・たぶん、古い時からの日本人が感じてきた美の感覚が文化として受け継がれているのかもしれません。もちろん、これも答えではないと思います。

迷宮美術館 ~ ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち2009年04月15日 00時04分27秒

ルーヴル美術館の所蔵品は、どのくらいあるのでしょうか? もちろん、公表されている数値なデータを調べることは容易だと思います。でも、その数ははたして本当なのか疑問に思ったりします。多くの時間を使い集めたのは、作品だけではないように思います。

六本木と上野、新旧美術館でルーヴル美術館展を銘打って展覧会を開催する都市は、世界中を探してもなかなかないと思います。そして、どちらの美術館の要望を何事もなく応えるルーヴル美術館の凄さは、想像をはるかに越えるの迷宮と言っても良いように思います。

まずは、六本木の新美術館のルーブル美術館展を覗いてみることにしました。この展覧会では、サブタイトルに『美の宮殿の子どもたち』とあるように、子どもを題材にした作品を集めています。但し、絵画以外の作品もかなり展示されているので、どんな作品がやって来ているのか興味深いところでした。

ルーヴル美術館

ルーヴル美術館の展示体系は8種あり、そのうち7種から作品を揃えたと、入口のメッセージに書いてありました。そして、新美術館では珍しいガラスケースが数多く点在していましています。何時の時代か判らない造形もあり、はるかな歴史ロマンを感じることができます。

今回は作品の題名や解説は、見ずに作品と向き合うことにしました。それは、古い時代で知っている作者もないですし、たぶん正確な年代が判るものが少ないと思ったからです。

この予想はほぼ合っていたと思います。だいたいこのあたりの時代で良いと思います。作品は王侯貴族の遺品などを除けば、民芸と同じような素朴さを持つものあたたかい作品ばかりでした。子供を対象としていることからもそのように感じることが出来るのだと思います。

絵画は全体の半分もなく、とびきりの作品もないのですがティツィアーノ、ベラスケス、ルーベンスなど大御所も顔をそろえているところがルーヴル美術館ならではなのでしょう。

今回、作品の中でなかなか良いと思えたのは、18世紀のイギリスのジョシュア・レノルズという画家です。『マスター・ヘア』という作品なのですが、どことなく初期のルノアールに雰囲気が似ています。表情やしぐさも似ているような気がします。但し、この子は男の子ですが・・・

ルーヴル美術館
ジョシュア・レノルズ「マスター・ヘア、1788」

子どもたちに愛と可能性を託す想いは、時代を越えるのかもしれません。迷宮には、こんな子どもたちがたくさんいるようです。そして、これかも多くの子どもたちが世界中から集められていくのでしょう。

※ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち

フェルメールひいき ~ ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画2009年04月21日 00時46分24秒

もうひとつのルーブル美術館展は、国立西洋美術館で開催されています。こちらは、17世紀の絵画を中心にした見どころ満載の展覧会と言って良いでしょう。レンブラント、フェルメール、ラトゥールなど、なかなか会うことのできない作品がやって来ていて、とても期待をしてしまいます。

しかし、なんと言ってもお目当ては、フェルメールの『レースを編む女』です。30点あまりのフェルメールの作品が、ここ数年で10点近くも日本にやってくるなんて…とっても幸せなことだと思っています。好きな言葉ではないのですが、ジャパンマネー恐るべしです。

ルーヴル美術館展

平日の午後、しかも天気は今にも雨が降ってきそうな日でした。しかし、こんな日の方が一般の動員が少ない分、静かに作品を堪能できるのです。係員はいつも同じように混雑を想定して誘導をしていましたが、従うまでもない状況なので慌てず会場に入ることにしました。

西洋美術館の良いところは、映像解説(あまり詳しい内容ではないのですが…)を最初に持ってきて、展覧会のテーマがどこにあるのかを知ることができる点です。どんな作品があるのか、その時代背景はどうなっているかを少し頭に入れるだけで、作品と出会っときの印象変わってきます。

何度も言いますが、今回はとても素晴らしい作品がたくさんやってきています。しかし、あさぎにとってはフェルメールがなんと言っても注目となります。これは譲れないところです。

さすがに歴史のある西洋美術館と思うのは、フェルメールの展示のしかたです。展覧会のテーマを生かすために特別に意識させることなく、流れていく視点の中にさりげなく展示しています。この点は、とても重要だと思います。たしかに、貴重な作品を特別扱いしたい気持ちは判りますが・・・

そう言えば、以前、新国立美術館で展示されたフェルメールの『牛乳を注ぐ女』は、作品を特別扱いし過ぎた結果、展覧会全体のテーマが崩れそうになっていました。美術館にとって、どのように見せるかも大きな仕事であり、ここは各美術館のキュレータに頑張ってもらいたいところです。

話がずれてしまいましたが、『レースを編む女』は、とても小さな作品です。どのくらいまで近づけるのが気になるところでした。しかし、あまり心配はいりませんでした。他の作品と変わらない距離にするところが、さすが西洋美術館です。

反射をしないガラスに守られていましたが、ある程度まで近づけることで細かいところまで見ることができました。画集では、潰れてわからない微妙なコントラストや質感が判るのが、なんとも感慨深いです。400年前にフェルメールが感じて、残した光は今も生きています。

ルーヴル美術館展
ヨハネス・フェルメール「レースを編む女、1669」

さて、この『レースを編む女』の額縁なのですが、最初はあまりにも大きいと思っていました。しかし、実物を見てみると意外にピタッと良い感じになるのが不思議でした。木目(ただの木目でなくちゃんと飾りが施されています)のぬくもりがあるからのようにも思います。

このような額縁になった経緯はわかりませんが、この場合は額縁と言うよりも壁と言った感じになっていると思います。だから、きっと何処へ飾ってもフェルメールワールドが感じられる、そんな効果が隠れているように思います。

フェルメール以外の作品にも、たくさん印象に残って作品がありました。例えば、ラトゥールの光と影はミステリアスに、ルーベンスの肉体は力強く…でも、やっぱりフェルメールの静寂がいちばん良かったと思います。もちろん、ひいきですが…

※ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画