Asagi's Art News





新世紀の創造 ~ クリムト、シーレ ウィーン世紀末展2009年10月14日 23時46分25秒

終末思想とは、一部の人々が信じ恐れていたようにも思います。だから、一般の人々にどこまで浸透していたのかは判りません。それに、日本人には、なかなか理解できないのではないでしょうか。宗教も、暦も、異なる最果ての島国にいるのですから。

多くの人が、既に20世紀末を体験しました。たしかにコンピュータなどの問題であたふたをしましたが、誰かの予言ですべて終わるような気分になるようなことは、けしてありませんでした。

しかし、情報の少なかった19世紀末は、いまとは少し事情が違ったか、もしれないと思います。世界の中心のヨーロッパでは、戦争の影や不安定な政治経済に古い時代の言い伝えが加わって、すべてが暗く不安な気持ちにしていったのかもしれません。

ウィーン世紀末展

クリムトとシーレの代表的な作品は、終末的とも退廃的とも言われます。たしかに、描かれる人物やテーマから官能的なインパクトが伝わってきます。しかし、その作品は、彼らは新しい表現を探りながら、たまたま行き着いた世界であるように思います。

古い画壇との決別、新しい技術や色彩の取り込みは、退廃的と言うよりも斬新的と言った方が良いと思います。例えは、この展覧会で出会えたクリムトの『パラス・アテネ』は、威厳ある未来を見据えているようです。日本の琳派を継承したそのスタイルから新世紀の創造を感じることが出来ます。

パラス・アテネ
グスタフ・クリムト「パラス・アテネ、1898」

※日本橋高島屋

コメント

_ cochi ― 2009年12月21日 21時11分22秒

cochiとスクリーンネームを変えました。
よろしかったらこれからも宜しくお願いします。

「クリムト、シーレ」の名前に惹かれて大阪のサントリーミュジアム「天保山」へ行ってきました。展覧会全体の作品の小粒さには少しがっかりですが、「パラス・アテナ」に出会えたことが最高の収穫です。あの気高い気品はさすがクリムトと唸るくらいでした。

今回思ったことは「まとわりつくような造形」ということです。世紀末バロックでしょうか。これは作品の前に立って初めて感じる感覚でした。作家達の呼吸を感じます。

_ あさぎ ― 2009年12月24日 01時28分02秒

コメントありがとうございます。新しいスクリーンネームは、良い感じです。
いま「パラス・アテネ」は、大阪の天保山にいるんですね。雰囲気の良い美術館ですので、クリムトやシーレの作品はより鮮やかにかつての世紀末を伝えていると思います。
それでは、これからもよろしくお願いします。

トラックバック