Asagi's Art News





至福の時間 ~ Theハプスブルク展2009年10月30日 22時00分43秒

再びベラスケスのマルガリータに会える機会がやって来ました。ハプスブルクの華麗な歴史絵巻のひとつの出来ごとですが、彼らの出会いは秘めた愛を物語る記録としていまに残っています。

ハプスブルク

ベラスケスのマルガリータを描いた作品と他の作品と比べると、それはとても明かです。注文主の意向を遙かにこえています。幼い可憐なお姫様に心を奪われ、懇親の力をつくして描かれいるのです。例え、何百年経っていても、誰もがそれに気づいてしまいます。

今回は、たまたまフェリペ皇太子の肖像と並んでの展示となりました。フェリペの肖像からは仕事しての完璧さがあるのですが、それ以上のものは感じられません。しかし、同じような構図のマルガリータの肖像からは、絵の中に時間を閉じ込めてしまいたいというような彼の暗示感じます。

マルガリータ王女と過ごすその時が、彼にとっての密かな至福の時間だったと思います。マルガリータには既に許嫁がいて、宮廷画家とは住む世界が違う・・・それでも、何とかしたい気持ちが永遠に絵の中に残っているのだと思います。

ハプスブルク
ディエゴ・ベラスケス「白衣の王女マルガリータ・テレサ、1656」

このような話は、どこにでもあると思います。しかし、画家はその想いを作品にして残します。ただ、高い報酬と引き替えに、その作品も画家の元から去っていきます。その寂しさまでも伝わる一枚のようでした。

※Theハプスブルク展