Asagi's Art News





豊かな暮らし ~ ポンペイ展2010年04月22日 22時35分12秒

ポンペイの災害は古代イタリアにおける悲劇ですが、そこに残されたものはとても貴重ですばらしいものです。ローマ人の豊かな暮らしや美的感覚が時を越えて蘇ると思います。なお、今回はナポリ国立考古学博物館から壁画や彫刻をはじめ生活用品までさまざまな作品がやって来ています。

ポンペイ展

いろいろな切り口があると思いますが、人々の暮らしを彩った壁画に興味がいってしまいます。商店や飲食店を飾った壁画は、ローマの人々の生活感に触れることができます。生活が豊かであることが、色彩やデザインから伝わってきます。

また、家々に飾られた壁画は、神話や歴史が題材となり教養の高さを見て取ることができます。女神の優しい微笑みに豊かな生活を願い、雄大な神々の姿は、信仰の尊さを導いているようです。ローマ文化の奥の深さを垣間見ることができます。

国教はキリスト教ですがギリシャの神々への憧れは、迫力ある大作となり残されています。ポスターにも使用されている『アキレスとキローン』は、美少年のアキレスが半野獣のキローンに音楽の教えを受ける場面ですが、繊細であり教養にあふれ、本当に2000年もの昔に描かれた作品であるかと思うほどでした。

ポンペイの悲劇はありましたが、ローマ人の豊かさには驚愕するところがあります。そして、失われたものが語りかけることに耳を傾け、何かを感じ取ることが必要であると考えさせてくれます。豊かな暮らしとは何か、あらためて考えてみたいと思います。

※横浜美術館(2010年3月20日~2010年6月13日)