Asagi's Art News





なりきり ~ 森村泰昌 なにものかへのレクイエム2010年05月04日 23時19分25秒

コスプレという言葉は、すっかりと定着しているようです。行為としては誰かのまねをすることですが、その誰かになりきることの方がより重要になっているようです。ある意味、パフォーマンスを通しての自己表現と言っても良いように思います。ただ、森村泰昌はちょっと違いますが…

森村泰昌

テレビの日曜美術館で森村泰昌の特集がありました。ピカソになりきるにあたって、目の表現に注目して何度も写真を撮り直し試行錯誤を繰り返していたのが印象的でした。納得が出来ずに本物のピカソの写真から目を切り抜きそれをまぶたに貼ったりもしていました。

その姿を見て、なりきりという行為から受ける印象とは少し違って、アートとしてまじめに考えいることにあらためて気づきました。だから、アートとて作品が存在するのだと思います。何かいろいろな仕掛けをたくらんでいるようにも思えるところがおもしろいです。

森村泰昌
森村泰昌「創造の劇場/パブロ・ピカソとしての私、2010」

また、現代史における出来事が、作品の背景にあることも興味深いことのひとつだと思います。もちろん、森村泰昌自信の歴史と重ね合わせている部分があるのだとは思いますが、歴史の意味を考えるきっかけを与えてくれます。そして、この先の未来へ、どう向き合っていくかを考えさせられた展覧会でした。

※東京都写真美術館(2010年3月11日~2010年5月9日)