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スピードの追求 ~ 東京コンクール・デレガンス 20102010年07月26日 00時40分37秒

夏の日差しと海からの潮風は、訪れるギャラリーにも厳しいですが、展示される名車たちにもたいへん厳しいようでした。しかし、お台場(潮風公園)には、47台のクラッシックカーが集合しました。東京コンクール・デレガンス2010というイベントです。

47台のクラッシックカーは、1910~30年は「Vintage:ヴィンテージ」、1931~45年は「Classic:クラシック」、1946~60年は「Postwar Classic:ポストウォークラシック」、1961~75年は「Postwar Classic:モダンクラシック」とカテゴリー分けをされ展示されていました。

まずは、「Vintage:ヴィンテージ」ですが、この時代は車体が大きいものが多く迫力があります。動くキャビンという感じなのかもしれません。しかし、80年以上の歴史があるにもかかわらず、当時からスポーツタイプが存在するのが、スピードの追求を行う車ならではの世界です。例えば、このラリー ABC(1930年)などは、その象徴といえるでしょう。

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「Classic:クラシック」では、さらにスピードへの要求を満たすために変化をします。車体は軽くスマートになり、デザイン的も流線型となっていきます。このアルファ ロメオ 6C2500 コルサ(1939年)は、いかにも早そうでスタイリッシュな形をしています。より早く、より美しく存在しているのだと思います。

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スポーツカーのカラーリングは、とても鮮やかです。誰よりも目立つことを考えたのかもしれませんが、赤いカラーリングはもはや昔からの定番であるようです。「Postwar Classic:ポストウォークラシック」のO.S.C.A(オスカ) MT4-Tipo 2AD(1955年)も赤のカラーリングが似合う車です。車体も現在のGTカーと同じような形になってきて、まさにスポーツカーだと思います。

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どの時代の車もそれぞれ良いところがあって魅力的です。しかし、何と言っても「Postwar Classic:モダンクラシック」にある車は、少しだけ特別な感じを受けます。もちろん、いまの車のデザインの原型であることもありますが、かつて、その時代の少年たちと一部の大人たちが共有した夢の乗り物だったように思うのです。

当時、目にする車は日本車であり、多くは輸出を目的として作られたコンパクトカーでした。そして、その日本車はアメリカ向けの合理主義的なつまらないデザインの車たちでした。そのとき、突然、現れたのがイタリアから来たスポーツカーだったのです。

スーパーカーとも呼ばれてもいました。歴史からも判るように、車はスピードとともにあります。このフェラーリ 365 GT4/BB(1975年)は、少年たちのあこがれのスーパーカーであり、フェラーリレッドといわれる深紅のマシンは、いまでもF-1の世界に受け継がれています。

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イベントにはクラッシックカーばかりでなく、最新型やコンセプトカーなどの展示もしていました。例えば、ランボルギーガヤルドLP570-4 スーパーレジェーラは、フェラーリのライバルであるランボルギーの新型スポーツカーです。あのときスーパーカーブームに火をつけたランボルギーカウンタックの遺伝子を持ています。

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コンセプトカーとしては、2009年のジュネーブショーで発表されたニッサン インフィニティ エッセンスが特別に展示されていました。この車に関しては、エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドカーで近未来的なデザインも注目したい、まさに日本が世界にセンスと技術を示す車なのかもしれません。

東京コンクール・デレガンス7

そして、最後にスクリーンの世界で大活躍したバットモービルもやって来ていました。映画「バットマン」「バットマン・リターンズ」で使用されて、あのマイケル・ジャクソンを虜にしたドリームカーです。6600×2400mmという大きさのボディに3600mmのホイールベース、ジェットエンジンを搭載しているといわれています…。

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電気で走る車の時代はすぐそこに来ています。しかし、その精神であるスピードの追求は、この先も続いていくと思います。そして、スピードのためのデザインは、さらに美しく進化をしていくと思います。

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