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歴史 ~ 御料車 -知られざる美術品-2010年10月11日 22時58分45秒

開館から人気の鉄道博物館で、皇族の専用車両である御料車の展覧会を行うチラシを駅で見かけました。最近では天皇陛下の一般の鉄道利用者に迷惑がかかるとの配慮から、御料車を利用する機会もないと聞きます。しかし、ちまたの鉄道人気は、「鉄」とか「鉄子」なるオタク化したファンが登場するなど話題となっています。

鉄道博物館

御料車の歴史は、近代日本の幕開けと同時期にはじまります。しかし、単に皇族用の豪華車両というものではなかったようです。高い技術の装飾や工芸を車内にほどこすことは、御料車に関わる人たちにたちにたくさんの誇りや自信ををもたらすことで、日本の美の追求に一役かっていたと思います。

鉄道博物館

御料車は、常設展示として1階の片隅に大事に展示されています。しかし、車両の内部に入ることはできません。そこで、今回の展覧会で、車両の内部の装飾や工芸品に着目して、その歴史を踏まえ3期に分けて紹介するとのことでした。

鉄道博物館

車内の再現模型なども実物大で造られていて、なかなか凝った感じがしました。派手さはないのですが、落ち着いた感じの織物や刺繍は緻密で精巧に出来ています。工芸品にも同じような落ち着きのあるものを揃え、快適な旅を演出したのだと思います。

いつもの展覧会とは雰囲気が違うので、特出する作品はないのですが、岡田三郎助(1869-1939)の『野菊と薔薇』という作品が、絵画として一点だけありました。白い野菊が清楚で、画面も静かな良い作品でした。

もちろん、常設の御料車も見てきました。初代のものはコンパクトでちょっと可愛い感じのする車両です。赤をベースに高貴な感じがします。明治天皇が使用したもので、初代1号が1876年、初代2号が1891年に製造されたそうです。

鉄道博物館

鉄道博物館

茶色の車両が4両ありました。大正天皇と昭和天皇が使用したものとのことです。大きさはいまの列車と変わらないと思いますが、内部の造りが特別です。細部の作りが丁寧なので、やっぱり近くから見たいと思いました(参加出来ませんでしたが、日に何回かガイド付きの見学ツアーがあるようです)。

鉄道博物館

※鉄道博物館(2010年10月9日~2011年1月16日)