Asagi's Art News





そうだ、太郎さんに聞いてみよう ~ 生誕100年 岡本太郎展2011年04月01日 10時27分15秒

東北から関東にかけての広い地域に被害をもたらした地震と津波の爪痕は、たくさんの人と暮らしを破壊してしまいました。そして、首都圏でも計画停電や流通の混乱が大きな不安を招いています。さらに原発の問題も大きくなって来ています。

アートの世界でも、中止や延期になる展覧会も出て来るなど、いろいろと混乱が出てきています。だから、こんな時こそアートで元気を出したい…そのためにはどうしたら良いのか? そうだ、太郎さんに聞いてみようと国立近代美術館に向かいました。

岡本太郎

岡本太郎(1911-1996)は、画家というよりもテレビタレントのようにマスメディアに登場する変わったおじさんであることが、多くの日本人のイメージなのかもしれません。彼の作品よりも『芸術は爆発だ』などの言動の方が話題となることもしばしばだったように思います。

しかし、彼は、父に漫画家の岡本一平(1886-1948)、母に歌人・作家の岡本かの子(1889-1939)を持つ芸術一家のサラブレッドでもあります。慶應義塾から東京美術学校に進学しているが、すぐに家族でパリに留学しています。そして、ピカソ(1881-1973)との出会いが、後の作品に大きく影響を与えるほどの衝撃だったようです。

戦争が太郎をフランスから帰国させます。兵役として中国に渡りますが終戦で日本に戻ると活動を再開させます。もう一人の岡本太郎こと、岡本敏子(1926-2005)と出会うのもこの頃でした。そして、画家という範疇を越えて、日本中に話題を問いかけるスターになっていきます。

展覧会では、初期の代表的な作品である「傷ましき腕」、戦地で描いた珍しい肖像画、シュルレアリスム的な要素のある「森の掟」、持論である対決主義を象徴する「ノン」など貴重な作品が網羅されています。もちろん、「太陽の塔」のスケッチや「明日の神話」の下絵も見ることが出来ます。

太郎の絵に描かれるものは、見るものを威圧してのみ込もうとしているように思います。最初の印象は、彼の言うように「なんだ、これは!」となるのですが、しばらくすると寂しさや孤独感が広がってくるような感じがしてきます。

大きな力や驚異に対して対決する。言葉では簡単ですが、いざ実行しようとするとなかなか難しいことだと思います。一人で勇気を絞り出し拳をあげることは、孤独で辛いことなのかもしれません。太郎の作品は、美術館以外にもいくつか見ることが出来ます。そして、そこには同じように孤独な戦いを感じることが出来るのです。

岡本太郎

※東京国立近代美術館(2011年3月8日~2011年5月8日)

アトリエの画家 ~ レンブラント 光の探求/闇の誘惑2011年04月14日 00時36分21秒

レンブラント・ファン・レイン(1606-1669)は、光と影の効果で美術史に大きな影響を与えています。まだスペインから独立したばかりで勢いのあるオランダが彼の故郷です。そして、若くして才能を認められものの、度重なる不幸や自らの浪費で経済苦になるなるなど、彼は波乱に満ちた人生を送るのです。

レンブラント

レンブラントと言えば、自画像をはじめとする肖像画が思い浮かびます。しかし、銅版画やデッサンなども数多く残しています。レンブラントは、かなり早い時期から銅版画の作成を行っており、しかも作成工程すべてに関わっていたと言います。また、技法を変化させてバリエーションを増やすと共に印刷する紙にもこだわり和紙を使うなど研究を重ねています。

展覧会では、そのような銅版画が中心となり、もうひとつのレンブラント光と影の世界を見せています。モノクロのとても静かな世界ですが、西洋美術館らしい学術的要素あふれるものになっています。また、ところどころに油彩の作品を入れアクセントを持たし、巨匠と呼ばれる男の魅力もアピールする構成となっています。

銅版画においても自画像を描き込んでいるとこが、レンブラントらしいところです。淡い濃淡を繊細に操り、油彩とは違ったおもむきを発した作品は見ごたえがあります。何故、レンブラントが銅版画に興味を示したのか考えてみると、ひとつには作品の大きさが関係しているように思います。

肖像画もデッサンからはじめると思いますが、やはり作品は大きく、作成にかかる時間も長くなります。納期の計算や依頼者やモデルとの対話など、作品に集中する以外のことが多かったのではないかと思っています。しかし、銅版画であれば、作品自体が小さく、作成にかかる時間もそれほど長くはないはずです。

集中力を維持したまま作品と対峙できることは、試行錯誤を好むレンブラントにはぴったりだったのかもしれません。この銅版画の作成があったから、光と影の世界に広がりが生まれたのではと思います。また、交易で栄えたオランダという環境から、遠い中国をはじめとする東洋美術の影響も考えることができて、とても楽しい感じがします。

最後に展覧会で気に入った作品を紹介したいと思います。それは、若い頃の油彩の作品で『アトリエの画家』と言います。この作品は、あまり大きな作品ではないのですが、レンブラントの光と影への想いと画家とは何かと言う問いかけが描かれているように思います。

レンブラント
レンブラント・ファン・レイン「アトリエの画家、1628」

アトリエにたたずむ画家、そして、画家よりも大きく描かれたキャンバスが印象的です。光は左側から当たっていて、右側に影ができています。一瞬、フェルメール(1632-1675)の作品と思ってしまうような優しいオランダの光があります。しかし、あくまでも中心にあるのはキャンバスであり、見る側からは何が描かれているか判りません。

画家の姿は小さく、画家自身がその絵の一部のような感じさえしてきます。画家の立ち位置について探求をしているようにも思えます。すばらしい作品を描く画家よりも、世間は画家の手から離れた作品を尊ぶ…何ともやるせない気持ちを投げかけているようにも思える作品です。

※国立西洋美術館(2011年3月12日~2011年6月12日)

新時代に想いをこめて ~ フェルメール≪地理学者≫とオランダ・フランドル絵画展2011年04月23日 22時12分52秒

地図から世界を見通す学者がいます。驚く彼の表情からは、新たな発見があった予感を漂わせます。その時代、アトリエから広がる行く世界を見ていたのは、オランダの光と影を操るもうひとりの画家、ヨハネス・フェルメール(1632-1675)でした。

今回もたくさんの日本人のフェルメールファンに応えるように、彼の作品が海を渡りやって来てくれました。彼が新時代に想いをこめて描いた「手紙」は、時間を越えて我々のもとに届けらたのです。ただ、この『地理学者』には、「手紙」は描かれていません。しかし、フェルメールが託した想いは同じなのです。

フェルメール

交易によってもたらされた品々は、フェルメールをはじめとする多くの人たちに、大いなる好奇心を与えていたと思います。そして、さらなる好奇心をもたらすものは、日々研究されている科学技術であると確信していたと思います。

『地理学者』に描かれた人物は、顕微鏡の発明をしたアントニ・ファン・レーウェンフック(1632-1723)だと言われています。レーウェンフックは、フェルメールと同じデルフトの生まれで、推測ですが彼らは友人としてお互いの研究や制作に影響を与えていたと思います。

フェルメール
ヨハネス・フェルメール「地理学者、1669」

この作品でフェルメールは、オランダの光が差し込む部屋の中心に科学者であるレーウェンフックを配置しています。驚きの表情には、「知」の喜びが満ちているようです。やがて、その発見が周囲の地図に描かれた世界に広がり、また新たな好奇心と発見を繰り返していくのです。

偉大な発見は、今も昔もフェルメールが描いたような、小さな部屋から生まれます。はじめは誰も気がつかない小さな発見です。それが、多くの人や場所に伝えられ磨かれていくと、大きな輝きを放つ偉大な発見に育っていくのです。この想いがフェルメールが伝えたかったことのひとつだと思っています。

話は変わりますが、東北震災の影響は、現在も展覧会にも大きく影を落としています。いくつかの美術館では、展覧会そのものが中止になったりと厳しい現実があります。しかし、Bunkamuraザ・ミュージアムなどは、厳しい状況にあっても何とか工夫をしながら、展覧会を続けています。出来ることをする…その美術館の姿勢は、高く評価しても良いのではないかと思っています。

※Bunkamura ザ・ミュージアム(2011年3月3日~2011年5月22日)

藤まつり ~ 亀戸天神2011年04月29日 23時51分49秒

5月を迎える頃になると甘い香りとともに藤の花が咲きはじめます。東京では、下町の亀戸天神の藤が評判で、JRのポスターなどでも紹介されているほどです。そこで、開花の様子を伺いつつ思い切って出かけてみました。

亀戸天神1

境内は思ったよりも広くないのですが、世界一の高さになったスカイツリーも良く見えることもあり、とてもたくさんの人たちで賑わっていました。紫の花が風に揺られるたびに甘い香りに包まれまるとってもすてきなお庭でした。ちなみに、亀戸の名が表すように池にはちゃんと可愛いかめさんがたくさんい泳いでいます。

亀戸天神2

お花見をさせてもらったお礼を兼ねて、本殿に参拝をしてから亀戸天神をあとにしました。そして、亀戸駅に戻る途中に「パルファンキムラヤ」と言うパン屋さんをのぞいてみると、かめさんの形をしたあんパン(親子でした)がずらり。う~ん、良く見るとカレーパンまで…ということで、一匹連れて帰ってきました。

亀戸天神3