Asagi's Art News





ベネッセアートサイト直島(地中美術館)2011年09月14日 22時53分12秒

岡山に起点を移して瀬戸内のアートな旅をしてきました。もちろん、何と言っても憧れのベネッセアートサイト直島を訪れることが、旅の大きな目的でした。昨年は、瀬戸内芸術祭の開催があり、小さい島々がたいへん賑わったそうです。そして、3年毎の瀬戸内芸術祭のプレシーズンには、ART SETOUCHI として常設展示が中心の取り組みをしているそうです。

まずは地中美術館をはじめ作品が集中する直島へ渡ります。岡山の宇野港、もしくは香川の高松港からフェリーが出ていました。どちらからも約20~30分ぐらいで到着できるアクセスの良いところです。岡山を起点にしたため、宇野港から直島に渡ることにしました。天気も良く初めての瀬戸内はキラキラ輝いて、アートの島が招いてくれているようであした。

直島

しかし、プレシーズンであるにもかかわらず、予想よりもたくさんの人がフェリーに乗り込んでいました。フェリーの座席には余裕がありましたが、ちょっと驚く状況です。噂には聞いていしていましたが、アートでの村おこしは、本当に大成功だったのでした。

さて、直島には2つの港があるのですが、大型のフェリーが着岸できるのは、南側にある宮浦港です。そして、宮浦港には、あの草間弥生の「赤いカボチャ」が展示されていて、島にやって来るフェリーを出迎えてくれるのです。憧れの地にやって来た期待感は徐々に盛り上がっていきます。

直島

直島での移動は、車を持ち込まない場合はバスかレンタルサイクルとなります。あさぎは体力は自信がないので、無難にバスを選択しました。そのバスですが、通常運転の他にフェリーで到着する人数を確認して、すばやく臨時バスを用意するなど素早い対応がとても好感を持てるのです。

あさぎは、その臨時バスに乗り込みました。通常のコースをショートカットをして、いちばん人気の地中美術館に直行することが出来ます。考えていたプランは変更になりしたが、地中美術館、李禹煥美術館、ベネッセハウスミュージアムの逆周りの美術館巡りをして、最後に本村港の家プロジェクトまで制覇するプランに変更してスタートです。

バスはかなりの坂道を登って行き、10分程度で地中美術館のチケットセンターに到着しました。最初にチケットセンターに通されるのですが、そこでは美術館の説明や鑑賞の注意などがあり、美術館の品質を保つようにしているようです。

もちろん、特殊な美術館ですから当然ではあると思いますが、さりげなく一般の美術館でも通用するルールのレクチャーするのは良いことだと思いますし、なかなか気持ちの良いものだと思います。そして、作品への期待を高めていく効果など感動のための仕組み作りには感心します。

直島

チケットセンターから地中美術館までの歩道の脇に、モネの池が再現されていました。とても良く手入れがされていて、少しずつ非日常的な扉に近づいていく感じがしてくる美しい光景です。地中美術館は、地形を活かした傾斜の中に作られた建物で、それ自体が作品である美術館です。展示作品も少なくとても贅沢な美術館です。空間アートとしてのコンセプトを余すところなく見せるためなのでしょう。

主催者であるベネッセコーポレーションの福武總一郎(1945-)は、現代美術に対して深い理解人物です。その彼が、慎重かつ大胆にプランを造り込んでいます。クロード・モネ(1840-1926)、ウォルター・デ・マリア(1935-)、ジェームズ・タレル(1943-)の作品は、建築家である安藤忠雄(1941-)の建物と空間で包みこまれ、特別なアートの結界を形成しているのです。

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残念ながら、美術館内部でのカメラ撮影は出来ませんでしたが、特別な空間によって新たな輝きを見せてくれます。例えば、モネの作品のある空間には、床にタイルのように細かい大理石で覆い、白い壁に晩年に作成された抽象画に近い「睡蓮」を5点配置しています。

人工の照明は無く、間接的に取り入れている外光によって作品を見ることができます。外光は天候によって明るさが変化します。太陽の出ているときは、明るくモネの「睡蓮」は部屋の中に輝き光がリズムをとります。しかし、雲が太陽を隠すとすぐに辺りは暗くなり、静寂と音を奪ってしまうのです。

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クロード・モネ「睡蓮-草の茂み、1914」

光でモネの「睡蓮」が、こんなにも変化するとは思いませんでした。時間が許せば何時間でもいたい空間です。朝や夕方には、どんな表情を見せてくるか…とっても気になりました。すばらしいコラボレーションと言えます。これらの作品は、地中美術館に行かなければ、見ることも感じることができない貴重なものなのです。さあ、旅はまだはじまったばかり…次の美術館に向かいます。

※ベネッセアートサイト直島