Asagi's Art News





港の光 ~ マリンタワー2011年10月02日 22時10分02秒

ピンクリボン運動もようやく根づきはじめてきました。10月1日には、いくつかの街のシンボルがピンクに変わる・・・それは、小さな呼びかけにたくさんの人が応えるようになった合図なのかもしれません。ひとりでも多くの命を救いたい想いが届きはじめているようです。

今年は、3月11日の地震によって、いろいろなことが変わりました。港のシンボルであるマリンタワーのライトアップも、昨日までは点灯させることが出来ませんでした。港の灯りが消えていることで、ちょっと寂しいと誰もが感じていたと思います。

マリンタワー2

日が傾き少しずつ暗くなってくると、ひさしぶりにライトアップされたマリンタワーが帰って来ました。少し風があって肌寒さを感じますが、暖かな光はなんとも言えぬ安心感を与えてくれます。そして、時計の針が18時を示すと同時に、マリンタワーはピンクに早変わりをするのです。

マリンタワー1

ピンクに変わったマリンタワーですが、微かに濃いピンクから少し薄いピンクに変化をしているようでした。港に来ている人たちも、この姿に気がつき立ち止まって、見上げたりカメラを向けていました。すべてが元に戻ったわけではありません。ただ、この光で少し元気が出れば、それで良いのだと思います。

マリンタワー3

アートで笑顔 ~ 黄金町バザール20112011年10月06日 22時51分46秒

横浜のディープな街で開催されるのが、黄金町バザールです。京浜急行の黄金町駅から日の出町駅の間の小さなスペースに若手アーティストの作品を集め、スタンプラリー形式で訪ね歩きます。

黄金町バザールは、2008年からスタートしていて毎年秋に開催されている展覧会です。なお、今年は横浜トリエンナーレと連携をして「まちをつくるこえ」をテーマにして、マスコミなどにも多く取り上げられ話題となっています。

黄金町バザールg

この展覧会を見て廻るには、まずパスポートと呼ばれるチケットを購入します。作品展示の多くは無料でも楽しめるのですが、いくつかの展示スペースは、有料となっています。スタンプラリー形式と言いましたが、作品を見ると記念にひとつスタンプを押してもらえるのです。

そして、そのスタンプを全部集めるとすてきなプレゼントがあるとのことでした。但し、日中だけでなく夜限定のスタンプとか、お店のお買い物でスタンプとか、なかなか楽しいのですが、コンプリートするのはそれなりの覚悟が必要です。

黄金町バザールg

黄金町バザールg

作品は、何気ない商店や民家の中にもあります。パスポートにあるガイドを良く見ないと判らない場所もあって、ちょっとした路地裏探検の気分を得ることが出来ます。中には参加型のイベントなどもあり、横浜トリエンナーレとは、ひと味違ったおもしろさがあると思います。

黄金町バザールg

黄金町バザールg

黄金町バザールg

黄金町バザールg

街に作品がどのように溶け込んでいるか、じっくり確かめるのもとても楽しいです。それに、アーティストをはじめ関係者たちとの距離が近いことから、気軽にお喋りに応じてくれ、彼らの作品がより身近に感じることが出来るのです。

さらに作品を作って販売をしているところもあり、気に入った作品があれば持ち帰ることも可能です。例えば、こんなのがほしいとリクエストをすれば、きっと叶えてくると思います。それは、アーティストにもオーディエンスにもハッピーなひとときとなるばずです。

黄金町バザールg

黄金町バザールg

こんなものがアートになるとか、一緒に参加したいとか、さまざまな感動や動機があふれています。まだまだ発展途上ではあるのですがアートの街おこしは、出来上がって来ていると思います。

ここでは、アートで笑顔が生まれています。とてもすばらしいことだと思います。横浜がアートの発信基地として、さまざまな活動を支えてきていることが、判るイベントのひとつなのだと思います。ちょっと応援したい、そんな気にさせてくれます。

黄金町バザールg

黄金町バザールg

黄金町バザールg

黄金町バザールg

さて、有料展示スペースを除いては、会期中何度でも見ることが出来ます。時間をずらしただけでも、また違った雰囲気の街と作品に会うことができます。あさぎは残念なことに1日しか楽しむことが出来ませんでしたが、とっても楽しい時間を過ごすことが出来ました。

また来年の開催が楽しみな展覧会です。次回はぜひスタンプコンプリートが出来るように頑張りたいと思います。すばらしいプレゼントとは、何なのか確かめる価値はあると思っています。

黄金町バザールg

黄金町バザールg

※黄金町バザール2011(2011年8月6日~2011年11月6日)

お茶とお菓子 ~ ヌードクロッキーと額装講座受講生作品自主展示会2011年10月20日 00時15分40秒

絵に関しては絵画教室で勉強することも大切ですが、作品を発表する展覧会を開くこともまた勉強になると思います。たまたま仲間に誘われて、昭和女子大学のオープンカレッジを受講している雄志によるクロッキー展に行く機会がありました。

場所は、なんと三軒茶屋にある小さなカフェでした。Cafe Bossa というお洒落なお店なのですが、1階と2階が営業スペースになっています。ところが、この1階は調理場とカウンターで10人も入るといっぱいになります。2階にはテーブルがあるのですが、やはり10人は厳しいようです。

Gogh02.jpg

何故、そんなスペースで展覧会をと思ったのですが…お店のホームページを見ると、継続的に展示スペースを格安で提供しているらしいのす。また、勉強だとしても展覧会にはお金がかかります。だから、若くて資金にとぼしいアーティストには、頼もしい存在なのでしょう。

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さて、肝心のクロッキー展ですが、かなり描き込んでいる感じの人たちであることが判りました。クロッキーと言えば短時間に形を捕らえるためのトレーニングのひとつとも考えられます。しかし、ちゃんと額装をしてみるとなかなか味のある作品になるものです。

試行錯誤のあとが見受けられ、例えば、作品をカットして再構成させたもの、デッサンのように時間をかけて描き込んだもの、流行のアニメ風のものなど、さまざまなアプローチで表現を考えるのには、たいへん参考なるものでした。

そして何よりも気軽にお茶とお菓子を頂きながら、仲間内で感想や発見を語り合うのも楽しいものです。これも本来あるべき絵画の楽しみ方のひとつであると思います。美術館の堅い雰囲気も良いですが、気楽な雰囲気の鑑賞も楽しいものです。

※Cafe Bossa(2011年10月10日~2011年10月16日)

大切にしたこと ~ アール・デコの館2011年10月28日 22時00分02秒

建物の改修や増築、バリアフリーなどの目的で改装に入る美術館が増えてきました。旧朝霞宮邸でもある東京都庭園美術館も、来月から3年の長期間の休館となります。残念ですが、美術館には必要なことなのでしかたがありません。

休館前の展覧会は、「アール・デコの館」という美術館自体を見せる人気の企画展です。もともと旧朝霞宮邸は、朝香宮鳩彦王の妻である允子内親王(1891-1933)がパリ滞在中に夢中になったアール・デコ様式を新宮邸に取り入れたものです。

アール・デコの館

設計は宮内省内匠寮ですが、内装にはフランスのアデザイナーであるアンリ・ラパン(1873-1939)が担当しています。そして、装飾品の一部にはアール・デコの巨匠でもあるルネ・ラリック(1860-1945)の作品が採用されています。

アール・デコの館

アール・デコの館

アール・デコの館

アール・デコの館

庭園美術館では、これらアール・デコの作品を活かした企画展を多数開いてきました。作品と作品の相乗効果により、展覧会を印象深いものにするのが好評になっています。もちろん、その逆の効果となるところもあったりしましたが…

アール・デコの館

アール・デコの館

庭園美術館の中でいちばん好きなのは、さまざまなデザインの照明機器です。100年近く時間が過ぎているのですが、斬新なデザインは現在のデザインにも引けを取りません。その証拠にどんな企画展でも、多くの人が天井を見上げる風景に出会います。

そして、いちばん人気は、2階の階段のところに吊り下げられているコンペイトウの照明です。赤、青、緑、白のガラスが微妙に組みされています。今回もその可愛らしい姿に多くのシャッターが切られていました。

アール・デコの館

アール・デコの館

アール・デコの館

大きな窓から見下ろす庭園もまたおもむきがあります。室内は、フェルメールの絵に出てくるような白黒の床のデザインと、外に見える緑が癒しの空間となっています。展覧会の休憩ポイントとしては、なかなか良いものです。

アール・デコの館

アール・デコの館

特別展示だったと思いますが、ラリックのガラス作品がカメラアングルとしてすてきな背景を持って展示されていました。写真の腕はいまひとつですが、狙ってみたい構図が目の前にあるとちょっとテンションも上がったりします。

普段の展覧会では出来ない作品との触れ合いは、何と言えず良いものです。絵画は別として装飾品や造形作品は、カメラ目線で見ると新しい発見や美しい視点を見つけることが出来ます。課題はありますが、作品を触れ合う企画を多くの美術館でも取り入れてほしいものです。

アール・デコの館

アール・デコの館

カメラ撮影に夢中になってしまい、だいぶ時間が過ぎてしまいました。あたりが少し暗くなっていましたが、美術館の外に出て最後に玄関で番をする狛犬と建物の全景をカメラに納めました。

改装期間の3年は少し長いですが、新しくなったときの期待もあります。何が変わって何が変わらないか、改装計画を調べれば判ることですが、なんとなく調べないでいたい気もしています。自分でも気付いていないのですが、好きな美術館のひとつなので大切にしたことがあるのだと思います。

アール・デコの館

アール・デコの館

※東京都庭園美術館(2011年10月6日~2011年10月31日)