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ヒーロー ~ 没後150年 歌川国芳展2012年01月27日 21時10分40秒

歌川国芳(1798-1861)の印象は、人気浮世絵師であるのはもちろんですが、江戸の街にいた「いきでいなせ」という言葉が似合う江戸っ子であるように思います。陰の努力は人には見せず、斬新で新しい画風を次々の送り出すのです。

そして、時の権力に対してもアイデアで対抗して、老中・水野忠邦にも浮世絵を武器に果敢に挑んでいく、まさに江戸庶民のヒーローなのだと思います。また、大の猫好きとも知られ、そのギャップも魅力のひとつなのです。

歌川国芳

展覧会は、そんな国芳の作品を400点以上も集めてしまった大がかりなものです。代表的な武者絵、役者絵、美人画、風景画と国芳の仕事のすべてを網羅しています。もちろん、猫の絵や『みかけハこハゐがとんだいゝ人だ』をはじめとする戯画(ぎが)もあります。

状態の良い作品が多く、その鮮やかさや迫力はとてもすばらしいものです。ただ、そのため、これまた多くの人が集まってきたため、会場も大盛況で、鑑賞もけっこう大変だったりしました。それは、それで良いことですが…

良い作品はたくさんあるのですが、今回はやっぱり武者絵の『宮本武蔵と巨鯨』が良かったと思います。3枚セットのど迫力な作品です。国芳は、このシリーズを手掛けることで、浮世絵師として一躍スターダムに上り詰めていきます。

歌川国芳
歌川国芳「宮本武蔵と巨鯨、1848」

その勢いは画面から直接伝わって来るようで、武蔵の話を知らなくても十分楽しむことが出来そうです。そんなところが、当時の江戸っ子に支持されてたのだと思います。そして、いまもその人気は続き支持されています。

※森アーツセンターギャラリー(2011年12月17日~2012年2月12日)