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グラン・ブーケ ~ ルドンとその周辺-夢見る世紀末2012年02月15日 22時44分57秒

三菱一号館美術館が作品の収集に力を入れていることを示すように、所蔵が決まったオディロン・ルドン(1840-1916)の『グラン・ブーケ』を中心とした展覧会でした。注目の作品の大きさは、162.9cm×248.3cmと、稀に見る大きなパステル画です。

ルドン

展覧会はルドンの回顧展となっているのですが、やっぱり最初から気になるのは『グラン・ブーケ』です。展示も初期の作品、「黒のルドン」と言われた版画、そして、良く知られている色彩豊かな作品と一通り揃えています。また、ルドンとその時代の画家の作品もあって回顧展としては濃い内容です。

しかし、美術館の力の入れようが『グラン・ブーケ』一色であるため、もう気になってしかたがないと言う状況を作り出しています。大人しく歴史を辿りながらの鑑賞も良いのですが、迷わず『グラン・ブーケ』に直行した方が良かったかもしれません。

ルドン
オディロン・ルドン「グラン・ブーケ、1901」

美術館の構造上、作品の配置には苦労していると思っています。また、注目される作品をどこに配置するのかも悩むところだと思っています。今回は、中盤の折り返しを少し過ぎたところ…中間点と言っても良いところに『グラン・ブーケ』を持ってきていました。なので、なかなか出て来ないという感じがしました。

そして、いよいよ対面となるのですが、パステル画であるため照明は最小限です。しかし、それが作品の大きさをさらに強調する効果があるようで、薄暗い中に浮かびあがる花束には、かなり圧倒される感じがします。色も鮮やかで良い演出をしていると思いました。

『グラン・ブーケ』は三菱一号館美術館の所蔵品ですから、機会があるたびに展示されることもあると思います。なので、会場に行くまでは、今回見逃してしまっても良いかななどと思っていたのですが、やっぱり見に行って良かったと最後は納得して帰って来ました。

※三菱一号館美術館(2012年1月17日~2012年3月4日)