Asagi's Art News





複製画 ~ フェルメール 光の王国展2012年04月01日 22時20分53秒

オランダ・デルフトには、フェルメール(1632-1675)が描いた本物の作品がひとつも残っていません。彼が生涯を過ごした街にかかわらず。しかし、彼が描いた街ということは不変的であり、いまも多くの人たちを引きつけているそうです。

デルフトには、その代わりとして『フェルメール・センター』があって、複製画であるもののフェルメールの全作品が揃っているのです。その『フェルメール・センター』が東京にもやって来ることになりました。場所も銀座という老舗のギャラーもあるアートの街にです。

光の王国展

松坂の裏手のちっと奥まったビルの中に『フェルメール・センター銀座』はあります。ビルの構造上の問題でエレベータで上層階に移動して、下層階に流れていく…しかたがないのかもしれないけど、ちょっと残念な感じです。

雨が降っていたのですが、けっこう熱心なファンがたくさんいました。会場は、1フロアーにフェルメールの全作品がずらっとあって、本物ではあり得ないと思いながらも、とっても感激する光景でした。

光の王国展

光の王国展

光の王国展

あの絵はどこどこで出会っているとか、この夏になると会えるとか、囚われの作品はいつ会えるのか、など複製画でもとっても楽しいことに気がつきました。近くで見るとやはりそれなりの感じがしますが、それでも良いような不思議な感じがする展覧会でした。たぶん、会場に来ていた人も同じような感覚ではなかったかと思います。

ちなみに監修は、分子生物学の福岡信一(1959-)さんです。世界中にあるフェルメールの作品を見て回って、ライフスタイルとして本業と同じくらい入れ込みで研究してる人なので、彼の想いも強く感じることができておもしろい展覧会になっています。

光の王国展

光の王国展

光の王国展

※フェルメール・センター銀座(2012年1月20日~2012年8月26日)

復活 ~ 六本木アートナイト 20122012年04月08日 20時26分48秒

東北大震災によって昨年の六本木アートナイトも中止となりました。まだまだ定着したといえるイベントでもなく、いろいろな問題も残っている中、イベントが再開が出来たことはとても良かったと思います。

メイン会場には、昨年の企画そのままスライドする形で、草間弥生(1929-)さんの作品を大きく配置しています。照明は節電のため控え気味ですが、それはそれで良い効果を与えてるいるようにも捕らえることができます。

六本木アートナイト

六本木アートナイト

六本木アートナイト

前回、前々回と比べるとやや目新しさに欠けるところもあるようです。展示スペースも制限が出てきているようで、六本木ビルズであれば作品と作品をつなぐ空間が空きすぎることで、イベントしての一体感が薄れきています。

メイン会場のひとつであるテレ朝前のでは、アートイベントで盛り上がるというよりも食べ物の屋台で飲んで食べてとなってしまっています。お祭りとして、盛り上がることも必要なのかもしれないと思うしかないようです。

六本木アートナイト

六本木アートナイト

六本木アートナイト

六本木ヒルズ、東京ミッドタウン、新美術館の主会場以外の街のようすは、協力的な店舗とそれ以外の店舗の違いが鮮明になりつつあり、考え方の違いも表面化して来ているのかもしれません。

但し、実行員や関係者の誘導などは、前回よりも改善されたところがあり、小さいとことですが評価できると思います。特に信号横断などの交通整理が上手くいっているようでした。

六本木アートナイト

六本木アートナイト

六本木アートナイト

ちょうどオープニングと夜のイベントとの狭間の時間帯に訪れたため、比較的会場は静かだったようです。新美術館までは歩くのは、けっこうな距離なのですが、夜の闇に浮かび上がる作品は、神秘的で疲れを感じることなく見て回れるのが楽しいです。

東北の大震災から1年が過ぎていきましたが、復興といとまだまだであることを多くの人が感じていると思います。ただ、少しずついろいろなことが復活してくることが、大きな復興の足がかりになると思っています。

六本木アートナイト

六本木アートナイト

六本木アートナイト

※六本木アートナイト(2012年3月24日~2012年3月25日)

レインボー ~ 靉嘔 ふたたび虹のかなたに2012年04月15日 21時14分12秒

強烈なレインボーの世界で観るものを圧倒するのが、靉嘔(あい・おう)(1931-)の作品です。もちろん、別の作品も数多くあることを今回の展覧会で知りましたが、やはりレインボーの世界からは離れがたいです。

靉嘔

靉嘔は、1960年代のフルクサスという前衛芸術運動に参加したこともあり、現代美術の歴史を知る重要な人物でもあります。フルクサスは、ラテン語の「流れる、変化する、下剤をかける」から由来すると言います。

しかし、グループとしては主義主張がはっきりとしていないところ、音楽や舞台などとの融合して、メンバーも多国籍で構成されていたようです。創始者であるジョージ・マチューナス(193-1978)よると、芸術家の生き方や物事の流れを示すような役割があったようです。

靉嘔

靉嘔

展覧会は、ベイシックな回顧展となっており彼の歩んできた道を作品を通して見せていきます。哲学的な造形やパフォーマンスから徐々にレインボーに変化していくのだが、正直なところ彼の主張についてまでは、なかなか理解は難しい。

ただ、歳を重ねるごとにレインボーから派生したものが、日本に古くから伝わる何かと融合するような、ちょっと言葉では表現できないところに近づいている感じがしました。回り回ってあるところにたどり着く、そんなことは良くあることですが…。

靉嘔

※東京都現代美術館(2012年2月4日~2012年5月6日)

魂 ~ 生誕100年 ジャクソン・ポロック展2012年04月23日 22時50分08秒

抽象主義と言えばジャクソン・ポロック(1912-1956)と言われる伝説の人物です。抽象主義は、芸術のモードをヨーロッパからアメリカに奪いとり、歴史の最先端を切り開いてみせました。そして、彼のパフォーマンスは強烈であり、生き方そのものが伝説となっていったのです。

ポロック展

万人には理解しがたい作品が多い抽象主義ですが、歴史上の偉人たちは密かに気が付き作品として残していたことも事実です。例えば、印象派の画家たちの作品の中にも抽象画として良いものがたくさんあります。

なかなかポロックの良い作品を観ることは難しいのですが、今回の展覧会では、『インディアンレッドの地の壁画』などの大作がやって来います。画集などでは判らない気迫のような感じを受けることが出来るのが、とても良かったです。

ポロック展
ジャクソン・ポロック「インディアンレッドの地の壁画、1950」

作品は何十年も前に作られたはずですが、何となくついさっき出来上がったような不思議な感じがします。これも錯覚なのかもしれませんが、絵の具のにおいも鮮明に判るところが、魂を持った本物のすごみなのかもしれません。

美術館のエントランスにポロックのアトリエを再現するコーナーがありました。床におびただしい絵の具の後がいかにもという感じです。残念ながら、作成中の作品や道具、家具といったものまでは再現されていません。流行だとは思いますが、もう少し頑張ってほしかったように思います。

ポロック展

※東京国立近代美術館(2012年2月10日~2012年5月6日)

究極の身体 ~ イ・ブル展 私からあなたへ、私たちだけに2012年04月30日 21時36分32秒

美術界には韓流というものはないのですが、奇抜な造形を得意とするイ・ブル(1964-)さんは世界的に注目度がアップしてきているようです。大学では彫刻を専攻していたようで、作品のテーマには、「究極の身体」や「理想の社会」などが入り込んでいるようです。

イ・ブル展

素材の持っている特徴もあるとは思うのですが、無理のない曲線とシンプルな色の構成が、非常に美しいものとなっています。光に対しても有効に作用しているようで、彼女の持っているテーマを良く反映しているように思います。

たまたま、訪れた日にレクチャーと呼ばれるイベントがあり、途中からでしたが参加してきました。東北大学の五十嵐太郎さんによる」「建築から読み解く、イ・ブル作品」という講義でした。

ブルーノ・タウト(1880-1938)の建築思想とイ・ブルの共通点を両者の作品を通して考察するもので、実に興味深い内容でした。タウトは、ガラスを最初に建築に用いたドイツの建築家です。理解まではいかなかったのですがガラスの建築という発想がキーになっているようです。

難しいことも良いのですが、単純に観て美しいと感じることのできる作品があること良いような気がして、再度、作品を見直してみたのですが、結局どちらでも良いのではという感じになってしまいした。

※森美術館(2012年2月4日~2012年5月27日)