Asagi's Art News





リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝2012年12月01日 23時13分23秒

リヒテンシュタイン公国はヨーロッパの小国でなのですが、列強から国を守るために芸術を武器にした独自の戦略で生き残ってきました。1608年にハプスブルク家からリヒテンシュタイン家は、「侯」という位を与えられ国家として独立をします。

リヒテンシュタイン

本格的な美術品の収集は、カール1世侯(在位1608-1627)と息子カール・オイゼビウス侯(在位1627-1684)の時代であると解説されていました。そして、歴代の諸侯たちに収集は受け継がれ、約3万点もの所蔵品を持つ個人コレクションになりました。

1807年からはウィーン郊外のロッサウにある『夏の離宮』でコレクションを公開して、多くの人々とともに芸術を共有するようになりました。しかし、近代の不幸な戦争の歴史は、コレクション公開を中止に追い込むことになります。

ナチス・ドイツによる美術品の国外持ち出しに抵抗して、国外へ所蔵品を移送するなど困難を乗り越えいきました。そして、66年も時間が過ぎてしまいましたが、2004年にコレクション公開を再開させることが出来たのです。

今回の展覧会は、その貴重なコレクションの中からバロック時代の傑作を揃えたとのことです。特に30点を数えるルーベンス・コレクションの中から8点もの作品を見ることが出来ます。また、『夏の離宮』にあるバロック・サロンを再現するなど大がかりな仕掛けを組み込んでいます。

さて、注目していた作品ですが、もちろんピーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640)となります。中でも娘のクララ・セレーナの肖像画は、なかなか興味深いところだと思います。当時、ルーベンスが家族に対して、どんな想いを持って描いたのか・・・とても気になるところです。

リヒテンシュタイン
ピーテル・パウル・ルーベンス「クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像、1616」

いろいろな仕事が舞い込み、精力的に作品を生み出していたルーベンスにとっての家族とは、どんな存在だったのでしょうか。晩年、彼は、仕事から離れ家族の肖像を描き、本当に描きたかったものを見つけたと語ったそうです。

気がつくの遅かったとも思える言葉ですが、本当はこの娘の肖像を描いていた時から、心の片隅にはあったのかもしれません。それは、この絵を見た瞬間に彼の大いなる愛を感じるからです。想像ですが、画家であることよりも、娘にとっての父親であることを感じて、まさに幸福の時間の中で生まれた作品なのかもしれません。

※国立新美術館(2012年10月3日~2012年12月23日)

また見ることが出来ました ~ クイーンズスクエア横浜2012年12月09日 21時16分16秒

毎年、楽しみしているのがクイーンズスクエア横浜のクリスマスツリーです。ツリー内部に電飾が仕掛けられていて、あたりが暗くなると数分間のショータイムになります。光と音楽で、とってもきれいです。

今年は、横浜出身のフォークデュオ ”ゆず”がプロデュースをすることになりました。ツリーの真ん中にあるのは、ミカンではなく”ゆず”です。節電もありますが、華やかなツリーは心を豊かにします。これで今年も無事に終わることが出来そうです。

クイーンズスクエア横浜

生誕100年 松本竣介展2012年12月16日 22時50分56秒

魅力ある人物として、近年、注目されていたのが激動の時代を駆け抜けた松本竣介(1912-1948)です。東京生まれで岩手で育ったそうです。大病によって聴力をなくしますが、それが画家へのスタートになりました。

松本竣介

とても強い人で、信念を辛くことで苦い思いもしたようです。軍国主義による画家への弾圧を、たった一人で立ち向かう日々・・・孤独で孤高である精神が、作品から伝わってくるようです。

特に「立てる像」では、彼自身の生き様が色濃く刻みつけられいるように思います。不安げな顔ですが、何者かをしっかりと見つめています。とても心強く観るものの心を揺さぶる作品です。また会いたい作品の一つになりました。

松本竣介
松本竣介「立てる像、1942」

※世田谷美術館(2012年11月23日~2013年1月14日)

クリスマスプレゼント ~ アジア・ネットワーク・ビヨンド・デザイン ANBD 2012 横浜展2012年12月24日 22時00分32秒

横浜の赤レンガ倉庫では、毎年12月にクリスマスマーケットを開催するようになり数年が経ちました。ドイツの行事であることから、出店にはソーセージやホットワインなどが売られています。もちろん、寒い中でもドイツビールの売れ行きは上々です。

夜になるとイルミネーションが輝きだし、さらにすてきな光景になります。しかし、港のためとても寒くなるため、今回は日のあるうちにやって来ました。いろいろ探索をしていると、ギャラリー会場でデザインの展覧会を発見、早速、中に入ってみることにしました。

ANBD

この展覧会は、アジア・ネットワーク・ビヨンド・デザインと言って、台湾(台北)、韓国(ソウル)、中国(蘇州)、日本(横浜)の4都市で開催する学生の作品を中心としたデザインのアンデパンダン展でした。地域・世代・ジャンル・組織・産学などの枠組みにとらわれないことを強調しているようです。

作品はサイズが決まっているようで、ポスターサイズに統一されて、地域、国毎にまとめたスペースに展示されていました。出力がプリンタのようなので、デジタル化された作品ように思います。少ないですが、造形作品もあり、なかなかおもしろい展覧会です。

ANBD

意外にも、それぞれの地域や国の伝統文化を意識した作品が、多くありました。伝統の色使いであったり、美意識だったりしましが、自分たちの身近にある良いものがインターナショナルとして伝わることに気がついているいるようです。

クリスマスマーケットでのおまけといった感じで、展覧会を見たのですがとてもすばらしい作品に出会えて良かったと思います。アートのクリスマスプレゼントに「ありがとう」を言いたいと思います。

※横浜赤レンガ倉庫1号館2F(2012年12月18日~2012年12月24日)