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クラーナハ展 500年後の誘惑2017年01月07日 00時45分51秒

国立西洋美術館

ルカス・クラーナハ(1472-1553):
北方ルネッサンス期において、アルブレヒト・デューラー(1471-1528)とともにドイツ・ルネッサンスの中核画家として活躍した人物です。宗教絵画や肖像画を得意として、神話に登場する女性たちを題材にヌード絵画を描いています。

宗教改革者のマルティン・ルター(1483-1546)と親交があるにもかかわらず、カトリック教会からの依頼も請け負うのなど独自の価値観を備えていたと思われます。

宮廷画家として名声を手に入れ後は、息子たちとともに工房を構え数多くの注文をさばく実業家であり、盟主として政治にもかかわるなど多彩な顔を持った実力者といえます。

作品は北方ルネサンスの特徴である緻密で細密な描きこみに加え、描かれた女性の神秘的かつ妖艶な表情にあると言えます。また、あえて背景を描かないなど鑑賞者に対して仕掛ける作品もあります。

日曜美術館・クラーナハ特集に出演したドイツ文学者の中野京子さんは、クラーナハの描く女性について、上半身は少女のような未熟さがあり、下半身は成熟した女性のようであると解説したうえで「変態的」世界感であるとコメントしていました。

注目作品:ホロフェルネスの首を持つユディト
国立西洋美術館
[ルカス・クラーナハ 1530頃]

ウィーン美術史美術館における修復が完了しての来日となります。当時の色彩がよみがえり、その瞳の奥のあやしくさや美しさに引き込めれます。

※国立西洋美術館(2016年10月15日~2017年1月15日)