Asagi's Art News





キトラ古墳壁画展2014年05月17日 15時16分20秒

ここにたどり着くまでまで130分の列でした。
<<後日更新予定>>
キトラ古墳

※東京国立博物館(2014年4月22日~2014年5月18日)

完全美 ~ 大英博物館 古代ギリシャ展 THE BODY 究極の身体、完全なる美2011年07月19日 20時10分21秒

古代ギリシャと言っても約3000年間の長い歴史があります。しかし、ギリシャの美術としてなじみがあるものは、比較的新しいアルカイック時代(前600‒前480年)、クラシック時代(前480‒前323年)、ヘレニズム時代(前323‒前31年)、ローマ時代(前31年以降)に作られた彫刻や陶器などになると思います。

古代ギリシャ展

今回の展覧会は、本当に古い時代のものからオリンピックなどの文化的に開花した時代までを網羅する貴重なものとなっています。約5000年もの時の流れに耐えた素朴な女性像から完全美の円盤投げ(ディスコポロス)まで、これぞギリシャ文明と期待が高まります。

ギリシャ美術の変遷を確認することも楽しいのですが、今回はどうしても円盤投げ(ディスコポロス)が気になってしまいます。人としての最も美しいフォルムと近代オリンピックに受け継がれる筋肉の躍動感は、魅力がありすぎると言って良いと思います。

新聞などの記事によると作られたのはローマ時代の紀元前5世紀半頃、ギリシャの彫刻家ミュロンによるものと伝えられています。そして、この円盤投げ(ディスコポロス)には、オリジナルがあったことからローマンコピーと呼ばれているようです。つまりローマ時代の複製品であるのですが、すでに2000年もの月日が過ぎていることからオリジナルと同様に貴重な作品なのです。

古代ギリシャ展
ミュロン「円盤投げ(ディスコポロス)、紀元前5世紀半頃」

研究者によると円盤投げ(ディスコポロス)のポーズは、実際の競技には適さないと指摘があるそうです。実際の競技から写したポーズではないとすると、作者が意図的に美を追究したものであると考えるのが自然です。筋肉が躍動する最も美しい形を探り、円盤を持ち弓のようにしなる体こそ完全美であるとの結論なのだと思います。

円盤投げ(ディスコポロス)の展示は、作品を囲むようにして360度どの位置からも見ることができるものです。例の阿修羅展の展示方法と同様の方式を採用しています。多少見上げる形になりますが、角度による微妙な変化を追うことが出来ます。見る人によりベストポジションが異なると思いますが、どこから見ても美しい作品でいろいろな意味で人間はすごいと思ってしまいます。

※国立西洋美術館(2011年7月5日~2011年9月25日)

そこから伝わってくるもの ~ 古代メキシコ・オルメカ文明展 - マヤへの道2010年11月08日 23時35分43秒

オルメカ文明よりも新しいマヤ文明の暦の解釈を引用して、人類の滅亡が来るとほのめかす人たちもいます。確かにオルメカ文明もマヤ文明も、まだまだ判らないがところがあり、不思議なところがたくさんあります。しかし、単に断片的な事柄だけを取り上げて、多くの人を惑わすようなことは良くないことです。何の証拠もないのですから…。

人類に備わった美しいと思う感覚は、たとえ時代や場所が異なっていても共通であるとときどき感じます。異なる文明でも美しいと感じた思いや大事にしていきたいことを、さまざまな形に残しています。オルメカ文明も例外ではありません。政治や宗教などの要素を含む場合もありますが、根本にある想いは同じだと思うのです。

オルメカ文明展

オルメカ文明は、紀元前1200年頃に中央アメリカに発生して紀元前後まで続き、その後の文明の母体となったことから「母なる文明」と呼ばれています。巨石人頭像などが良く知られていますが、土偶や土器、宝石を使った装飾品なども数多く発見されていています。

ジャガーを神として崇め、高度な天文学や数学を発展させています。しかし、生け贄を捧げる儀式があるように、厳しい自然環境の中で生き抜いてきた文明でもあるのです。生け贄の儀式は、野蛮な行為と思われることがあるのですが、誰もが仲間のことを想い自らを犠牲にしてでも仲間を守るという尊い行為なのです。

さて、展覧会は、「人々と自然」「神と王権」「聖なる地」「交流と拡散」の4つのテーマで紹介されていました。反時計回りに一周するような会場作りで、最初の出入り口にレプリカだったのですが、巨石人頭像(第4号記念物)を配置したことがポイントなのだと思います。また、ここだけカメラ撮影可としていて、訪れた人たちは楽しそうに記念撮影をしていました。

オルメカ文明展

各作品の年代については、まだまだ特定しきれないところがあるようで、数世紀の幅を持った判断がされていました。巨石人頭像は見るからにネグロイドなのですが、その他の土偶や石像は、モンゴロイドの特徴を持っているのが不思議でした。これらの作品を作った人たちが本当に同じだったかは、まだまだ研究を進める必要がありそうです。

土偶は、意外にも小さくスタイルはスマートです。やはり、環境が厳しく食べるものに困っていたのかもしれません。日本の縄文土器のような特異なバリエーションはないのですが、暖かみある素朴な土偶で彼らの人柄を伺えるような気がしました。また、王族の副葬品である仮面もありました。たぶん翡翠だと思うのですが、その権威の高さと品の良さを感じることが出来ます。

最後のところにマヤ文明への道として、マヤ文字のレリーフが特別に展示されていました。オルメカ文明よりも若い文明ですが、謎はたくさんあるようで、ピラミッドなどの遺跡にマヤ文字が刻まれているとのことです。とても不雑な文字なのですが、丁寧に正確に石に刻まれている文字は、読めなくてもその美しさと文明の高度さを感じることが出来ます。

オルメカ文明もマヤ文明も歴史の一部としては知っていました。しかし、本物を見る機会は、なかなかないように思います。ありきたりの感想なのかもしれませんが、本物に触れないと判らないことがたくさんあります。そして、そこから伝わってくるものがあるのです。

※古代オリエント博物館(2010年10月9日~2010年12月19日)