Asagi's Art News
アボリジニの大地 ~ エミリー・ウングワレー展 ― 2008年08月02日 22時06分00秒
最近は会期終了間際に駆け込みで展覧会を見に行くことが多いのです。でも、やっぱり見に行って良かったと思うので、あきらめずに出かけることにしています。その度に本物にふれることの大切さを実感しています。

エミリー・ウングワレー展もそんな展覧会のでひとつでした。あさぎのデッサンの先生は抽象画を描いているのですが、彼女のような天性の作品に出会うと参ったとしか言いようがないと言っていて気になっていました。
彼女の活動期間はたった8年間で3000以上の作品を残している。オーストラリアのアボリジニであり、絵を描く前は部族の儀式のボディーペインティングや砂絵を描くシャーマン的な存在であったようです。

彼女の作品は、抽象画のように思われますが、解説を見るとそれは伝統的な図案であったり、オーストアリアの大地や生活そのものようです。作品には見る方向が決まっていません。便宜上作品には上下左右がありますが、どこから見てもそのエネルギーを感じることができます。
とても大きな作品が多く迫力があります。例えは、ビッグ・ヤム・ドリーミングは8mもの大きさであり、仕上げるにも数日しかかからなかったと言うことでしたから、いかに彼女がエネルギッシュであったかが判ります。

エミリー・ウングワレー「ビッグ・ヤム・ドリーミング、1995」
ちなみに、ビッグ・ヤム・ドリーミングは、アボリジニの主食であるヤムイモの根を表したものです。大地に根付く生命の力強さを感じることができます。悲しい歴史もありますが、オーストラリアの大地がアボリジニのものということを実感できます。
※国立新美術館

エミリー・ウングワレー展もそんな展覧会のでひとつでした。あさぎのデッサンの先生は抽象画を描いているのですが、彼女のような天性の作品に出会うと参ったとしか言いようがないと言っていて気になっていました。
彼女の活動期間はたった8年間で3000以上の作品を残している。オーストラリアのアボリジニであり、絵を描く前は部族の儀式のボディーペインティングや砂絵を描くシャーマン的な存在であったようです。

彼女の作品は、抽象画のように思われますが、解説を見るとそれは伝統的な図案であったり、オーストアリアの大地や生活そのものようです。作品には見る方向が決まっていません。便宜上作品には上下左右がありますが、どこから見てもそのエネルギーを感じることができます。
とても大きな作品が多く迫力があります。例えは、ビッグ・ヤム・ドリーミングは8mもの大きさであり、仕上げるにも数日しかかからなかったと言うことでしたから、いかに彼女がエネルギッシュであったかが判ります。

エミリー・ウングワレー「ビッグ・ヤム・ドリーミング、1995」
ちなみに、ビッグ・ヤム・ドリーミングは、アボリジニの主食であるヤムイモの根を表したものです。大地に根付く生命の力強さを感じることができます。悲しい歴史もありますが、オーストラリアの大地がアボリジニのものということを実感できます。
※国立新美術館
正統派コレクション ~ 対決-巨匠たちの日本美術 ― 2008年08月09日 14時20分04秒
朝日新聞に連載され、とても気になっていた日本画対決の展覧会に行ってきました。蝉が鳴き日差しも厳し日でしたが、意外な発見を期待して国立博物館にのりこんでみました。

運慶vs快慶の地蔵菩薩対決からはじまり、鉄斎vs大観の富士山対決までの豪華12番勝負です。会期の関係上すべての出展作品を見ることはできなのですが、仏像、水墨、茶碗、屏風、浮世絵と日本美術の良いところをもうらしています。
国立博物館らしく国宝、重文も惜しげなく展示しているところ良い感じです。以前、外国の日本コレクションの展覧会がありましたが、本家がやると正統派というか、やっぱりしっくりくる展示になります。ただ、あまり冒険がないのもという感じですが・・・

対決というのが新しいのですが、どうしてもこことあそこを比べてという見方ができませんでした。ひとつの作品に気迫があるので、どうしても凝視してしまいます。せっかくの試みを無視しているような感じがしましたが、それも良しと思っています。
どれも味があって普段はあまり興味のない仏像さえも、木喰などは素朴さの中に力強さがあったりしてまた見たいと思いました。そして、なかなか見ることができなかった、写楽の役者絵にも会うことができて思わぬ収穫がありました。

東洲斎写楽「市川海老蔵の竹村定之進、18世紀」
だいぶ展覧会を見てきているのですが、写楽にだけはあまり出会えなくてけっこう感激しました。本物を見るとますます謎の絵師の魅力が伝わってきます。どの浮世絵とも違う目の表情が良かったです。すっかり対決を忘れてしまいました・・・。
※東京国立博物館

運慶vs快慶の地蔵菩薩対決からはじまり、鉄斎vs大観の富士山対決までの豪華12番勝負です。会期の関係上すべての出展作品を見ることはできなのですが、仏像、水墨、茶碗、屏風、浮世絵と日本美術の良いところをもうらしています。
国立博物館らしく国宝、重文も惜しげなく展示しているところ良い感じです。以前、外国の日本コレクションの展覧会がありましたが、本家がやると正統派というか、やっぱりしっくりくる展示になります。ただ、あまり冒険がないのもという感じですが・・・

対決というのが新しいのですが、どうしてもこことあそこを比べてという見方ができませんでした。ひとつの作品に気迫があるので、どうしても凝視してしまいます。せっかくの試みを無視しているような感じがしましたが、それも良しと思っています。
どれも味があって普段はあまり興味のない仏像さえも、木喰などは素朴さの中に力強さがあったりしてまた見たいと思いました。そして、なかなか見ることができなかった、写楽の役者絵にも会うことができて思わぬ収穫がありました。

東洲斎写楽「市川海老蔵の竹村定之進、18世紀」
だいぶ展覧会を見てきているのですが、写楽にだけはあまり出会えなくてけっこう感激しました。本物を見るとますます謎の絵師の魅力が伝わってきます。どの浮世絵とも違う目の表情が良かったです。すっかり対決を忘れてしまいました・・・。
※東京国立博物館
北陸紀行① ~ ロン・ミュエック展 ― 2008年08月15日 15時24分48秒
せっかくの夏休みなので、地方の美術館を訪ねてみたと思っていました。候補としてはいくつかあったのですが、雑誌や本で大人気の金沢21世紀美術館にすることにしました。やっぱり夏のこの時期に、話題のプールが気になりました。
横浜からは上越新幹線を使う北回りコースと東海道新幹線を使う西回りコースがあります。しかし、お盆ということもあり北回りの予約ができなかったので、必然的に西回りになりました。京都経由でなんと5時間もかかたのは驚きです。
もちろん、ただ金沢に行くのも何ですので、注目の企画展であるロン・ミュエックの個展も目的のひとつです。特殊メイクのような超リアルの造形にたいへん興味があります。金沢までの長旅にもめげす、バスに乗り換え美術館に向かいます。

美術館は、大きな円形をしていて入り口もたくさんありました。くるりと周りを歩いてみて、最初は西側の入り口から入ってみました。扉を通ると噂に聞いた油圧式のエレベータがありました。とりあえず、乗ってみたのですが、ずーんという感じの乗り心地でなかなか良かったです。

あまり意味もなく地下に行ったのですが、細かい仕掛けがいろいろあって人気がでるのがすぐに判りました。市民ギャラ-に沿って進んでいくと 美術館の建物の上に「雲を測る人」を見ることができます。少し離れているので写真よりも小さく感じますが、夏の日差しの中本当に雲を測っているようです。

館内は企画展のある有料ゾーンと常設の無料ゾーンに分かれていますが、無料ゾーンではカメラでの撮影が可能なので、たくさんの人が記念撮影ができてとても楽しいです。照明も自然光を多く取り入れているため、とても優しい空間ができあがっています。

市民ギャラリーの壁にも大きな花の絵が描かれていて、良く見ると和風で古都金沢らしいものも感じます。通路にはロッキングチアーがあって、座ってみると自然にアートに溶け込むような感じがします。

市民ギャラ-を抜けると次は、「ブルー・プラネット・スカイ」に会えます。この作品は、四角い穴の開いた天井がある部屋なのです。だから、作品は天気左右されます。この日はお天気ちょっと白味がかった空でしたが、冬であればまさに鮮やかなブルーの作品になるでしょう。・・・企画展はまだまだ先にあります。
※金沢21世紀美術館
横浜からは上越新幹線を使う北回りコースと東海道新幹線を使う西回りコースがあります。しかし、お盆ということもあり北回りの予約ができなかったので、必然的に西回りになりました。京都経由でなんと5時間もかかたのは驚きです。
もちろん、ただ金沢に行くのも何ですので、注目の企画展であるロン・ミュエックの個展も目的のひとつです。特殊メイクのような超リアルの造形にたいへん興味があります。金沢までの長旅にもめげす、バスに乗り換え美術館に向かいます。

美術館は、大きな円形をしていて入り口もたくさんありました。くるりと周りを歩いてみて、最初は西側の入り口から入ってみました。扉を通ると噂に聞いた油圧式のエレベータがありました。とりあえず、乗ってみたのですが、ずーんという感じの乗り心地でなかなか良かったです。

あまり意味もなく地下に行ったのですが、細かい仕掛けがいろいろあって人気がでるのがすぐに判りました。市民ギャラ-に沿って進んでいくと 美術館の建物の上に「雲を測る人」を見ることができます。少し離れているので写真よりも小さく感じますが、夏の日差しの中本当に雲を測っているようです。

館内は企画展のある有料ゾーンと常設の無料ゾーンに分かれていますが、無料ゾーンではカメラでの撮影が可能なので、たくさんの人が記念撮影ができてとても楽しいです。照明も自然光を多く取り入れているため、とても優しい空間ができあがっています。

市民ギャラリーの壁にも大きな花の絵が描かれていて、良く見ると和風で古都金沢らしいものも感じます。通路にはロッキングチアーがあって、座ってみると自然にアートに溶け込むような感じがします。

市民ギャラ-を抜けると次は、「ブルー・プラネット・スカイ」に会えます。この作品は、四角い穴の開いた天井がある部屋なのです。だから、作品は天気左右されます。この日はお天気ちょっと白味がかった空でしたが、冬であればまさに鮮やかなブルーの作品になるでしょう。・・・企画展はまだまだ先にあります。
※金沢21世紀美術館
北陸紀行② ~ ロン・ミュエック展 ― 2008年08月23日 23時53分00秒
美術館のちょっとしたところに楽しいものがあります。休憩用の椅子もそのひとつです。いくつか椅子にこだわっている美術館も知っていますが、やはりセンスの良さがひかります。夏の日差しの中で色づく芝の緑を見ながら一休みできます。

視線を外に向けるとやはり変わった椅子が目に入りました。金属製でこれも可愛い形をしています。さすがに座って休む人はいませんが、誰もが興味をもって見ていきます。本当にいろんな仕掛けがしてあり感心します。

美術館の中央に常設展示でいちばん人気のプールがあります。上から見るには、無料で楽しめますが、プールの下から見るには企画展を見た後にという仕組みになっているようです。
プールの表面には、ちゃんと水があるのがとても良い感じです。下にいる人が上からのぞけます。たくさんの人がいるようで、モゾモゾ動いている様子が魚のようで楽しいです。涼しげで暑い夏にはとっても良い作品です。

ロン・ミュエック展に入ると、このプールの下に行くことができます。細長い通路を下りプールの下まで行くのでが、行く先に青い空間がぽっと見えるのですが、雰囲気は水族館のような感じです。日差しが差し込んでキラキラしています。

今度は逆に魚になります。たくさんの人が上からこちらをのぞいています。とても不思議な感じがします。この作品に限っては、たくさん人が集まっている時に鑑賞するのが良いのかもしれません。それぞれの人がアートに溶け込みお互いに良い効果を与えるように思います。

たぶん、この作品は、夏の日差しのあるこの季節がベストであるように思います。もちろん、季節によっていろいろな変化を見せるでしょうが、プールは夏の象徴ですし、たまたま金沢に行ったのが夏だったということで・・・

さて、企画展であるロン・ミュエックの作品ですが、特殊メイクのようにリアルであるのです。ただ、その大きさが巨大であったり、小さかったりと現実にはありえないものです。それが逆にリアルに見るものに訴えているようです。
作品はファイバーグラスやシリコンなどから作られていますが、粘土で型を作っていく工程は一般の彫塑と同じらしいです。リアルさを追求するためでしょうか、髪の毛などはちゃんと植毛をしているようです。

ロン・ミュエック「ガール、2006」
演出のしかたによってはちょっと恐怖を感じるような作品になるように思いますが、良く人観察して感情や仕草をいかに表現するかに注視しているように思えます。貴重な作品に会いに出かけていったかいがあったと思います。
※金沢21世紀美術館

視線を外に向けるとやはり変わった椅子が目に入りました。金属製でこれも可愛い形をしています。さすがに座って休む人はいませんが、誰もが興味をもって見ていきます。本当にいろんな仕掛けがしてあり感心します。

美術館の中央に常設展示でいちばん人気のプールがあります。上から見るには、無料で楽しめますが、プールの下から見るには企画展を見た後にという仕組みになっているようです。
プールの表面には、ちゃんと水があるのがとても良い感じです。下にいる人が上からのぞけます。たくさんの人がいるようで、モゾモゾ動いている様子が魚のようで楽しいです。涼しげで暑い夏にはとっても良い作品です。

ロン・ミュエック展に入ると、このプールの下に行くことができます。細長い通路を下りプールの下まで行くのでが、行く先に青い空間がぽっと見えるのですが、雰囲気は水族館のような感じです。日差しが差し込んでキラキラしています。

今度は逆に魚になります。たくさんの人が上からこちらをのぞいています。とても不思議な感じがします。この作品に限っては、たくさん人が集まっている時に鑑賞するのが良いのかもしれません。それぞれの人がアートに溶け込みお互いに良い効果を与えるように思います。

たぶん、この作品は、夏の日差しのあるこの季節がベストであるように思います。もちろん、季節によっていろいろな変化を見せるでしょうが、プールは夏の象徴ですし、たまたま金沢に行ったのが夏だったということで・・・

さて、企画展であるロン・ミュエックの作品ですが、特殊メイクのようにリアルであるのです。ただ、その大きさが巨大であったり、小さかったりと現実にはありえないものです。それが逆にリアルに見るものに訴えているようです。
作品はファイバーグラスやシリコンなどから作られていますが、粘土で型を作っていく工程は一般の彫塑と同じらしいです。リアルさを追求するためでしょうか、髪の毛などはちゃんと植毛をしているようです。

ロン・ミュエック「ガール、2006」
演出のしかたによってはちょっと恐怖を感じるような作品になるように思いますが、良く人観察して感情や仕草をいかに表現するかに注視しているように思えます。貴重な作品に会いに出かけていったかいがあったと思います。
※金沢21世紀美術館