Asagi's Art News
『品格』は『美』から生まれる ~ 第42回 日展 ― 2010年11月14日 22時56分41秒
11月3日の朝日新聞に「この国の『品格』は『美』から生まれる」と題して、日展の全面広告が掲載されました。広告には、日展理事長の中山忠彦(1935-)と数学者・作家の藤原正彦(1943-)が対談をして、美的センスと天才、日本の美の伝統などとても興味深い話をされていました。
ベストセラー「国家の品格」の著者でもある藤原は、天才というのは人口に比例して生まれるものではないと語っています。では、どういうところに天才が生まれるかと言うと「美」があるところで、これはちゃんと調べた結果であるとのことです。

「美」があるということは、美的感受性が育つ環境があるということで、日本はそのような「美」のある恵まれた環境にあるそうです。しかしながら、最近では子供たちの教育に美術の時間が減りつつあり、「美」対する関心が薄れてきていることは、大変危惧すべき問題であると続けます。
この後、日本の「美」の伝統について話を広げ、日展の担ってきた仕事の重要さを確認していきます。確かに日展は、近代日本を象徴する歴史ある公募展です。1907年の文展からはじまり、紆余曲折はあるものの今年で100年以上も続く老舗の展覧会であり、その規模も国内最大級です。
現在では会場も上野の東京都美術館から六本木の新美術館に変わりましたが、日本画、洋画、工芸、彫刻、書の各作品が、ところせましと展示する様は、なかなか壮観な思いがします。そして、たくさんの作品の中でお気に入りを見つけるのもまた楽しみであり、最近のトレンドなど見本市的な要素も持っている展覧会です。
このため新美術館での展示も1階から3階までをフルに使い展示しています。傾向としては、日本画の方が意欲的な作品が多く見られ、その反対に洋画はベイシックな大人しい作品を多く見ることができます。工芸は、細かい細工や装飾を施しその技術力に圧倒されます。伝統に加えてどんどん新しいことに挑戦する姿勢が作品から伝わってきます。
彫刻は、さまざまなものがあるのですが、作品と作品の間隔がどうしても狭くなるため、いつもおしくら饅頭のような感じがするのがおもしろいところです。それに、立像が多いため地震がきて倒れてきたどうしようという緊張感があって良いです。書に関しては、勉強不足なので良いなと思う作品もあるのですが…何ともです。

鎌谷節子「DALIA、2010」
さて最後に、数ある作品の中でお気に入りの一枚は、やはり日本画でした。鎌谷節子の「DALIA」です。調べていないので経歴などは良く判らなかったのですが、大きな画面いっぱいに描かれた赤いダリアは、燃え上がるようにも見え迫力があります。大輪をいくつも描いているのですが、ひとつひとつは、細かく緻密です。女性の持つ力強さが伝わってくる作品でした。
※国立新美術館(2010年10月29日~2010年12月5日)
ベストセラー「国家の品格」の著者でもある藤原は、天才というのは人口に比例して生まれるものではないと語っています。では、どういうところに天才が生まれるかと言うと「美」があるところで、これはちゃんと調べた結果であるとのことです。

「美」があるということは、美的感受性が育つ環境があるということで、日本はそのような「美」のある恵まれた環境にあるそうです。しかしながら、最近では子供たちの教育に美術の時間が減りつつあり、「美」対する関心が薄れてきていることは、大変危惧すべき問題であると続けます。
この後、日本の「美」の伝統について話を広げ、日展の担ってきた仕事の重要さを確認していきます。確かに日展は、近代日本を象徴する歴史ある公募展です。1907年の文展からはじまり、紆余曲折はあるものの今年で100年以上も続く老舗の展覧会であり、その規模も国内最大級です。
現在では会場も上野の東京都美術館から六本木の新美術館に変わりましたが、日本画、洋画、工芸、彫刻、書の各作品が、ところせましと展示する様は、なかなか壮観な思いがします。そして、たくさんの作品の中でお気に入りを見つけるのもまた楽しみであり、最近のトレンドなど見本市的な要素も持っている展覧会です。
このため新美術館での展示も1階から3階までをフルに使い展示しています。傾向としては、日本画の方が意欲的な作品が多く見られ、その反対に洋画はベイシックな大人しい作品を多く見ることができます。工芸は、細かい細工や装飾を施しその技術力に圧倒されます。伝統に加えてどんどん新しいことに挑戦する姿勢が作品から伝わってきます。
彫刻は、さまざまなものがあるのですが、作品と作品の間隔がどうしても狭くなるため、いつもおしくら饅頭のような感じがするのがおもしろいところです。それに、立像が多いため地震がきて倒れてきたどうしようという緊張感があって良いです。書に関しては、勉強不足なので良いなと思う作品もあるのですが…何ともです。

鎌谷節子「DALIA、2010」
さて最後に、数ある作品の中でお気に入りの一枚は、やはり日本画でした。鎌谷節子の「DALIA」です。調べていないので経歴などは良く判らなかったのですが、大きな画面いっぱいに描かれた赤いダリアは、燃え上がるようにも見え迫力があります。大輪をいくつも描いているのですが、ひとつひとつは、細かく緻密です。女性の持つ力強さが伝わってくる作品でした。
※国立新美術館(2010年10月29日~2010年12月5日)