Asagi's Art News





静かに舞う ~ 須田国太郎展2006年02月05日 00時26分57秒

地下鉄竹橋駅から地上に出たときは、既に日も傾きかけていました。美術館に向かう道筋では、空気が冷たく西日の輝きが眩しい都会の午後を演出していました。

須田国太郎展

須田国太郎は、京都に生まれ関西美術院でデッサンなどを学んでからスペインに渡りプラド美術館のヴェネチア派の絵画を模写して独学で油彩の技術を習得したと解説にありました。

だからでしょうか、初期の作品には、暖色系を使い見るものに温かみを感じさせてくれます。また、セザンヌの影響を受けていて作品にその影響を伺うことが出来ます。

アーヴィラ
須田国太郎「アーヴィラ、1920」

展示は、1932年の初の個展、戦前、戦後の作品、珠玉の小品と題された小さな作品、そしてライフワークであった能・狂言を題材にした作品へと組み立てられていました。

作品からは、彼の人間としてのまじめさ素直さが伝わってきます。静かにモデルとなる風景や人物を見つめ正確に彼のフィルターを通し表現していくそんな感じがします。

大作よりも小さい作品に味わいがあって、彼を愛するコレクターがたくさんいると言うこともうなずけます。家の中のちょっとしたところに彼の作品があったとしてらきっと素敵なことだと思いました。

あさぎには後半にあった能・狂言のデッサンやスケッチが印象に残っています。単純な線を素早く的確に必要とされるところだけを写し取っていました。舞台劇の一瞬を捉える観察力は、彼自身が能・狂言に深く愛しいた証拠なんしょう。

野営
須田国太郎「野営、1945」

※国立近代美術館