Asagi's Art News





フェルメールひいき ~ ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画2009年04月21日 00時46分24秒

もうひとつのルーブル美術館展は、国立西洋美術館で開催されています。こちらは、17世紀の絵画を中心にした見どころ満載の展覧会と言って良いでしょう。レンブラント、フェルメール、ラトゥールなど、なかなか会うことのできない作品がやって来ていて、とても期待をしてしまいます。

しかし、なんと言ってもお目当ては、フェルメールの『レースを編む女』です。30点あまりのフェルメールの作品が、ここ数年で10点近くも日本にやってくるなんて…とっても幸せなことだと思っています。好きな言葉ではないのですが、ジャパンマネー恐るべしです。

ルーヴル美術館展

平日の午後、しかも天気は今にも雨が降ってきそうな日でした。しかし、こんな日の方が一般の動員が少ない分、静かに作品を堪能できるのです。係員はいつも同じように混雑を想定して誘導をしていましたが、従うまでもない状況なので慌てず会場に入ることにしました。

西洋美術館の良いところは、映像解説(あまり詳しい内容ではないのですが…)を最初に持ってきて、展覧会のテーマがどこにあるのかを知ることができる点です。どんな作品があるのか、その時代背景はどうなっているかを少し頭に入れるだけで、作品と出会っときの印象変わってきます。

何度も言いますが、今回はとても素晴らしい作品がたくさんやってきています。しかし、あさぎにとってはフェルメールがなんと言っても注目となります。これは譲れないところです。

さすがに歴史のある西洋美術館と思うのは、フェルメールの展示のしかたです。展覧会のテーマを生かすために特別に意識させることなく、流れていく視点の中にさりげなく展示しています。この点は、とても重要だと思います。たしかに、貴重な作品を特別扱いしたい気持ちは判りますが・・・

そう言えば、以前、新国立美術館で展示されたフェルメールの『牛乳を注ぐ女』は、作品を特別扱いし過ぎた結果、展覧会全体のテーマが崩れそうになっていました。美術館にとって、どのように見せるかも大きな仕事であり、ここは各美術館のキュレータに頑張ってもらいたいところです。

話がずれてしまいましたが、『レースを編む女』は、とても小さな作品です。どのくらいまで近づけるのが気になるところでした。しかし、あまり心配はいりませんでした。他の作品と変わらない距離にするところが、さすが西洋美術館です。

反射をしないガラスに守られていましたが、ある程度まで近づけることで細かいところまで見ることができました。画集では、潰れてわからない微妙なコントラストや質感が判るのが、なんとも感慨深いです。400年前にフェルメールが感じて、残した光は今も生きています。

ルーヴル美術館展
ヨハネス・フェルメール「レースを編む女、1669」

さて、この『レースを編む女』の額縁なのですが、最初はあまりにも大きいと思っていました。しかし、実物を見てみると意外にピタッと良い感じになるのが不思議でした。木目(ただの木目でなくちゃんと飾りが施されています)のぬくもりがあるからのようにも思います。

このような額縁になった経緯はわかりませんが、この場合は額縁と言うよりも壁と言った感じになっていると思います。だから、きっと何処へ飾ってもフェルメールワールドが感じられる、そんな効果が隠れているように思います。

フェルメール以外の作品にも、たくさん印象に残って作品がありました。例えば、ラトゥールの光と影はミステリアスに、ルーベンスの肉体は力強く…でも、やっぱりフェルメールの静寂がいちばん良かったと思います。もちろん、ひいきですが…

※ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画