Asagi's Art News
長い旅 ~ 崔在銀展 -アショカの森- ― 2010年10月03日 23時40分23秒
崔在銀(チェ ジェウン)(1953-)は、インスタレーションを中心に活躍するソウル出身の女性アーティストと紹介されています。日本では華道を学んでいて、草月流三代目家元の勅使河原宏(1927-2001)のアシスタントになっています。また、映画監督に挑戦するなど幅広い活動をしているようです。
今回の展覧会は、彼女にとっては初の個展となり、「アショカ王の5本の樹の森」という故事をテーマに作品を展開しています。アショカ王は古代インドの王様で、国民ひとりひとりが5本の樹を植え、見守ることを提唱したそうです。5本の樹とは、病を治す樹、実のなる樹、燃料になる樹、家を建てる樹、花を咲かせる樹のことを言うそうです。
原美術館はそれほど大きな美術館ではないため、広い空間が必要なインスタレーションには向きません。しかし、アーティストたちは、その空間に最適になる作品を用意し来ます。崔在銀は、立体造形、映像、写真の作品を効果的に組み合わせて森という作品を構成しています。
美術館に入るとまず、木材を積み重ねた部屋があります。木材の種類は判りませんが、木材独特の良い香りが漂っていて、これから足を踏み入れる森を演出しているようです。色という意味では、この木材のみであり、その他の作品はモノクロの静かな世界となります。
1階には、とてもゆっくり動く森の木々ビデオインスタレーションがあります。森を歩いているような感じのする映像が、心地良く流れていきます。 2階に進むと今度は電車の車窓のように、動きの早い映像の部屋があります。何か急に遠くまで来てしまった感じを受けるインスタレーションです。
崔在銀「幻想の裏面、2010」
そして、最後は海の写真の部屋になるのですが、森を抜けた先に見た光景のように広がりを持ち、実際にはとても短い時間なのですが、長い旅が終わったような感じがする不思議な作品構成になっています。
人と森の関わりが少しだけ判ったような気がしたのと同時に森がある意味を考えてしまいます。アショカ王がみんなに判って欲しかった大切なことが少しだけ判ったような気がします。そして、人と森の良い関係が将来も続いて行くことを願いたいと思います。
※原美術館(2010年9月11日~2010年12月26日)
今回の展覧会は、彼女にとっては初の個展となり、「アショカ王の5本の樹の森」という故事をテーマに作品を展開しています。アショカ王は古代インドの王様で、国民ひとりひとりが5本の樹を植え、見守ることを提唱したそうです。5本の樹とは、病を治す樹、実のなる樹、燃料になる樹、家を建てる樹、花を咲かせる樹のことを言うそうです。
原美術館はそれほど大きな美術館ではないため、広い空間が必要なインスタレーションには向きません。しかし、アーティストたちは、その空間に最適になる作品を用意し来ます。崔在銀は、立体造形、映像、写真の作品を効果的に組み合わせて森という作品を構成しています。
美術館に入るとまず、木材を積み重ねた部屋があります。木材の種類は判りませんが、木材独特の良い香りが漂っていて、これから足を踏み入れる森を演出しているようです。色という意味では、この木材のみであり、その他の作品はモノクロの静かな世界となります。
1階には、とてもゆっくり動く森の木々ビデオインスタレーションがあります。森を歩いているような感じのする映像が、心地良く流れていきます。 2階に進むと今度は電車の車窓のように、動きの早い映像の部屋があります。何か急に遠くまで来てしまった感じを受けるインスタレーションです。
崔在銀「幻想の裏面、2010」
そして、最後は海の写真の部屋になるのですが、森を抜けた先に見た光景のように広がりを持ち、実際にはとても短い時間なのですが、長い旅が終わったような感じがする不思議な作品構成になっています。
人と森の関わりが少しだけ判ったような気がしたのと同時に森がある意味を考えてしまいます。アショカ王がみんなに判って欲しかった大切なことが少しだけ判ったような気がします。そして、人と森の良い関係が将来も続いて行くことを願いたいと思います。
※原美術館(2010年9月11日~2010年12月26日)