Asagi's Art News





ノスタルジック ~ 蕗谷虹児展~魅惑のモダニスト2011年07月16日 23時58分13秒

蕗谷虹児(ふきやこうじ)(1898-1979)は、竹久夢二(1884-1934)の導きで挿絵画家としてデビューをします。日本画のベースがある清楚な少女画が評判となり、試行錯誤はあったものの生涯そのスタイルに変化はないように思います。

蕗谷虹児

1925年にはパリに渡り油彩にも挑戦して、「サロン・ナショナル」「サロン・ドートンヌ」などに入選する活躍をしています。藤田嗣治(1886-1968)や東郷青児(1897-1978)との親交を深めたのもこの時期ということです。そして、帰国後には活躍の場をさらに広げ東映動画にてアニメーションの原画・構成を担当しています。

また、図案デザインなどもすばらしく、本の装丁デザインなどは主張が強すぎず、シンプルかつ洗練されたものです。文豪の作品に品格を与え、作品を一段上の世界に押し上げているような感じがしてきます。

展覧会には、彼の作品(作品の資料を含め)を一度に600点も集める回顧展になっています。初期の日本画をはじめ、挿絵画家時代の原画、パリでの油彩作品、晩年の確立された世界とマルチな活動を詳細に紹介しています。

世代により想いも異なるのでしょうが、世界童話全集などの挿絵は子供の頃に出会ったことのある作品であり、なんともノスタルジックな感じがしました。もちろん出会った頃には判りませんでしたが、これも蕗谷虹児の仕事であったかとあらためて納得したよう気になりました。巡り合わせとは本当に不思議なものだと思います。

※そごう美術館(2011年6月11日~2011年7月18日)

コメント

トラックバック