Asagi's Art News





カラヴァッジョの絵画世界 ~ パッション2005年06月19日 10時03分53秒

メル・ギブソンといえば、マッドマックスのイメージがあるのだが、もう監督業の方が主流でアカデミー賞にも輝いた。パッションは、イエス・キリストが十字架に掛けられるまでの12時間を映像化した意欲作だ。劇場公開は、とっくに過ぎているのだが、DVDが出ていたので買ってみた。

最後の晩餐あとの夜明け前、イエスが大祭司カイアファに捕らえられところから話がはじまる。騒然とするなか誰が誰だか判らなかった。やがて、イエスは、ローマ軍に引き渡され、鞭打ち、十字架を背負って引き回されたうえ磔にされる。この中の主だった場面は、絵画として描かれているが、映像として通して見るとかなりの衝撃が伝わってくる。

それで、絵画を思い出しながら映画を見ていたのだが、あの場面の前後には、こんなことがあったのかとか、こんな意味があったのかとかと、あさぎには、いい勉強になった。

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プロダクションノートの中には、カラヴァッジョの絵画世界を彷彿させるような映像とあったが、たしかに雰囲気はあると思う。また、カラヴァッジョのことを「暴力的で、暗く、精神性を持っているが、ある意味異様な表現であるけど、とても美しい」と言っているが、確かにそのような感じもする。

※パッション

六本木の夜は長い ~ フィリップスコレクション展2005年06月25日 12時18分32秒

夜の10時まで開館している美術館がある。曜日によって閉館時間を延長するところは、いくつか知っていたが、森アーツセンターギャラリーは、通常営業なのだ。それで、仕事が終わっても余裕で見に行けるのということで、六本木ヒルズの森タワーに向かった。

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フィリップスコレクション展となっていたので、個人収集家が集めた作品で、その中身よりは画家の名前を重視したものかなと思っていた。ところが、期待以上の作品が美術史を語るような順番で展示されていた。エル・グレコからマチスまで、「センスが良い」というと軽く聞こえるが、もう少し見ていたいと思う作品がかなりあった。

この展覧会のメインは、ルノワールの「舟遊びの昼食」で、コレクターのフィリップス・ダンカンの特別な思いが込められた作品である。ダンカン自身が感じた思いを多くの人にも感じてほしいと紹介があり、「舟遊びの昼食」に向かって左側にソファーが置かれ、見る人が絵の中に入り込んでいるような感じで見ることができる。描かれた人物の大きさが、ソファーから見ると等身大に見えるので、その効果は抜群であり、ルノワールが作る美しく至福の空間を体感できる。

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もちろん、他の作品も素晴らしく特に印象派に興味があれば、モネの「ヴェイトゥイユへの道」、シスレーの「ルーシェンヌの雪」、ドガの「稽古する踊り子」、ゴッホの「オーヴェールの家」、セザンヌの「ザクロと洋梨のあるショウガ壺」などは、見ておきたいものである。

※森アーツセンター
※フィリップスコレクション展