Asagi's Art News





ダイレクトな感性 ~ 液晶絵画2008年09月27日 00時16分03秒

展覧会のタイトルは、有りそうで無かった『液晶絵画』です。すでに多くのインスタレーションで液晶モニターが用いられていますが、直接的にアピールするのははじめてかもしれません。もちろん、作品のすべてが液晶モニターを使っているわけではありませんが、どことなく新しい感じがするのはなぜでしょうか?

東京写真美術館

映像をメインとするインスタレーションの場合、どのような装置を使って表現するかで印象が変わってきます。ブラウン管を使った作品では、モニター大きさの制限や設置場所の確保などが必要であり、本来は平面にしたいものが、立体になってオブジェのようになってしまうこともあったと思います。

また、いまでも良く使われるプロジェクターは、大画面を得ることは出来ますが、周囲を暗くする必要があり作品を隔離するようなイメージがあります。ところが、液晶は明るい輝度を確保した上で、最近の技術革新により画面も大きくなっており、ある意味作品の解放がなされているのではと思います。

例えば、千住博の『水の森』は、液晶モニターを屏風に見立てた作品です。しかも、水墨画のようなモノトーンの世界を表現しています。湖面に波紋が広がり、風がたなびくように微妙に画面が揺らぎます。

液晶絵画
千住博「水の森、2008」

本物の水墨画であれば描かれているものが動いていなくても、その気配を感じることが出来るのかもしれません。想像力によって徐々に作品に入っていくのでしょう。しかし、実際に動いていたら・・・より早く感性に届くのかもしれません。

スピード感をもって作品に入っていき、別の世界が広がっていくようにも思います。表現しようとしていることは、同じなのかもしれません。でも、いまは自然だけに囲まれていた古い時代とは違います。いろいろなメディアが交差し、人工的な映像があふれているのです。

古い時代と同じ感動を得るためには、もしかしたら今回のようなダイレクトな感性を得るやり方も良いのかもしれません。変わらないものを探しているのかもしれません。でも、表現のしかたは変わってきます。

※東京都写真美術館