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自由に ~ 丸沼芸術の森所蔵 アンドリュー・ワイエス展2010年11月29日 22時57分21秒

丸沼芸術の森は、世界でも屈指のアンドリュー・ワイエス(1917-2009)のコレクションを所蔵しているそうです。丸沼芸術の森は、ワイエスとも親交の深かった丸沼倉庫の社長である須崎勝茂氏が、若い画家の育成のために作ったメセナ(企業による芸術活動の支援)であるとのことでした。

今回は、この丸沼芸術の森の所蔵品を中心に構成する展覧会になります。そして、丸沼芸術の森にとっても毎年行っていたワイエス展の最後を飾る展覧会として位置づけているようでした。ワイエスの作成過程が判る「オルソン・シリーズ」などの水彩・素描を200点以上を集める大規模な展覧会です。

アンドリュー・ワイエス展

アンドリュー・ワイエスは、アメリカのペンシルバニア州フィラデルフィアに生まれますが、子供頃は体が弱いため学校には通わず家庭教師などに勉強を習っていたようです。父親がイラストレータであったこともあり、絵を描くことが好きな少年だったようです。そして、彼の画風が固まるきっかけとなったのが、別荘があるメーン州クッシングでの出会いでした。

別荘の近所に住んでいたオルソン家の姉弟との交流が、代表作である「クリスティーナの世界」として形になります。彼らとの出会いが、作品が生まれる源泉になったと言えます。そして、作品のほとんどは、クッシングでの自然や暮らしている人たちをモデルにしていることも興味深いことです。

アンドリュー・ワイエス展
アンドリュー・ワイエス「クリスティーナの世界(習作)、1948」

ワイエスの作品は、透き通るような静けさと緻密な描写というイメージがあります。しかし、作品作りの課程でのスケッチなどを見ると、意外にもラフで自由な印象が伝わってきました。鉛筆の線も太くなったり細くなったりしていて、風景や人物の描写も勢いで描かれているようでした。

ひとつの作品ができるまで、自由に描き、構想を展開していたように思います。ところが、いざ本番の作品になるといままでの自由さを捨て去り、基本に立ち戻るように緻密で正確な線に変化するのです。とてもおもしろいと思います。孤高の画家というイメージとは少し違う…新しい感覚を得たような気がしました。

※埼玉県立近代美術館(2010年9月25日~2010年12月12日)

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