Asagi's Art News





保護 ~ ボストン美術館展2012年05月22日 23時47分01秒

”維新”という言葉を使う人は、すべてことを変革しようとするのですが、変革すべきことと変革させてはいけないことを曖昧にしがちです。これは、明治維新においても同じで、現在も同じことが繰り返されています。

ボストン美術館展

明治維新は、神仏分離令により結果として廃仏毀釈運動がおこり、多くの貴重な仏像などが失われていきました。それに、同調するように日本美術に対しても、西洋文化に劣るもの、排斥すべきもののレッテルを貼ってしまいました。

しかし、日本美術の危機に立ち向かったのが、岡倉天心(1863-1913)やアーネスト・フランシスコ・フェノロサ(1853-1908)だったのです。日本中で危機にあった美術品の保護をして、現在あるボストン美術館展の日本コレクション収集に貢献しました。

美術品の海外流出をマイナスに捕らえる人もいるますが、その国での保護が出来なければ、人類共通の財産として別の国で管理していくことも大事なことと思っています。もちろん、戦争などによる略奪は、別に考える必要があるますが…

複雑な経緯はあるのですが、歳月を経て再びふるさとの日本で、彼らにとって未来の日本人との対面は、重要な意味があると思います。過去を知り、現在を知ることのきっかけになれば良いとも思います。

ボストン美術館展
曽我蕭白「雲龍図(部分)、1763」

さて、展覧会では本当にすごいものがいくつもありました。例えば、『吉備大臣入唐絵巻(平安時代)』、『松島図屏風(尾形光琳:1658-1716)』、『雲龍図(曽我蕭白:1730-1781)』などは、説明抜きでびっくりする作品です。

そうか、こんな作品があったのか…作品にふれ合うことなしには感じることが出来ない大切な瞬間です。しかし、この想いを感じる瞬間を与えてくれたのは、想いを同じとして多くの偉人たちなのです。

※東京国立博物館(2012年3月20日~2012年6月10日)