Asagi's Art News





寓意 ~ 大エルミタージュ美術館展 世紀の顔・西欧絵画の400年2012年07月02日 21時56分52秒

エルミタージュ美術館は、絵画だけでなく工芸、彫刻と美術館自体も芸術品であるようで、いつかは訪れてみた美術館のひとつです。ロシアの古都であるサンクトペテロブルク(かつてのレニーグラード)にあるそうで、情報はたくさんありますが、本当はどんなところなんでしょうか?

エルミタージュ

今回の展覧会には、ルネッサンスからマチスまでの壮大な歴史を絵画を通して駆け足で紹介するとのことです。この頃の美術館ブームにおいて、美術鑑賞をはじめた人にはぴったりと言った感じの企画でしょう。

サイズの大きい作品が比較的多いため、歴史の流れをダイナミックに見ていくことができるようです。ただ、映像資料がいまひとつという感じがしました。休憩室には、美術館を紹介する短い映像がありましたが、展覧会の作品の流れや注目作品の紹介までには至っていないのです。

有料の音声ガイドを提供するの良いとは思いますが、特定の作品の前に人が溜まるなどの問題があります。作品は順番に見るのものではないのですから、例えば、会場外に映像スペースを設けて展覧会の概要などを提供するべきです。同じ国立の東京国立博物館では、ちゃんと出来ているのですから…

美術館側の問題点が気になってしまいますが、お気に入りの作品を紹介したいと思います。実はロココの作品が好きではないのですが、ちょっと可愛い作品があったので、フランソワ・ブーシェ(1703-1770)の『クピド(絵画の寓意)』をお気に入りとます。

エルミタージュ
フランソワ・ブーシェ「クピド(絵画の寓意)、1750」

この『クピド(絵画の寓意)』と対になる『クピド(詩の寓意)』と一緒に展示されているのですが、やはり絵を描いているクビドたちの方に思いが傾きます。ブーシェは、ポンパドゥール夫人などフランスの上流階級の援助を受けながらロココ絵画の中心的な人物となっていきます。

彼から見た芸術を享受されるものの象徴として、これらクピドは描かれたのかもしれません。もちろん、芸術を享受されるものは貴族となのですが、年月が過ぎれば意味も変わり、そして、芸術を享受される対象も変わっていきます。

※国立新美術館(2012年4月25日~2012年7月16日)