Asagi's Art News





もうひとつのアメリカ ~ アンドリュー・ワイエス展2007年06月25日 23時29分08秒

梅雨はどこにいってしまったの、と思いたくなるような日差しの眩しい1日。表参道からふらふらと歩いて、青山まで来ました。喧騒の青山通りから一歩路地に入ると、意外に静寂を感じることができます。

青山ユニマット美術館

なにげないビルの入口に『ブルー・コンサート』のポスターが目に入ります。こんなところにと言う感じが、ぴったりな美術館です。オーナーの趣味だけで作ってしまった・・・そんなシャガールとエコールドバリをメインにした美術館です。

入口がミュージアムショップになっていて、美術館というよりはちょっとした雑貨店のようです。展示は2階から4階のフロワーにあり、4階から順番に下の階に降りてくるようになっています。4階がシャガール、3階がエコールドパリ、2階が企画展のアンドリュー・ワイエスです。

エレベータを使い4階に行くのですが、上りのボタンを押してもなかなかエレベータが来ませんでした。ようやく扉が開くと、なんと中からウェディングドレスの花嫁さんが出てきてビックリです。

なんとなく良いもの見たような気分で、シャガールの部屋に向かいます。『ブルー・コンサート』を中心に18点が、部屋を取り囲むように展示されています。シャガールの持つ独特の浮遊感が、部屋を支配して愛のオーラを放っているかのようです。

さっきの花嫁さんは、ここから出来てのではと思ってしまうような雰囲気です。前後左右すべてをシャガールにするセンスは、なかなかのものです。中央に椅子を配置して、どっぷりと世界に浸ることができます。あさぎは、この場所が好きになりました。

3階のエコールドパリも、なかなか良い作品を集めていています。藤田、モディリアーニ、キスリングなど派手さはないものの落ち着いて見て行けるのが良いところです。解説も丁寧で良いのですが、説明が多いような感じもします。

2階にたどり着くと雰囲気が少し変わり、アメリカらしい乾いた感じになりました。アンドリュー・ワイエスは、アメリカの東部にある風景を描いているそうです。ビルの立ち並ぶ都会とは異なる農家の暮らし、もうひとつのアメリカです。

アンドリュー・ワイエス
アンドリュー・ワイエス「OPEN HOUSE、1979」

この『OPEN HOUSE』という作品には、朽ちかけた建物が馬小屋となっている様子が描かれています。いかにもという感じで、アメリカの自然の厳しさが伝わってくるようです。人物を描かないことがより効果的になっているのだとも思います。

彼の作品は、セピア色の写真を見るような静寂さを感じます。ノスタルジックな風景に、惹きつけられるのだと思います。忘れていた何かを思い出すような感じになるのではないでしょうか・・・

※青山ユニマット美術館