Asagi's Art News





フランスとドイツ ~ 語りかける風景2010年07月04日 23時17分23秒

ポスターには、アルフレッド・シスレーの『家のある風景』があります。世界の印象派の絵画が日本に集まってきていて、この渋谷でも風景をテーマとした展覧会が企画されていました。フランス・アルザス地方にあるストラスブール美術館からやって来た選りすぐりの風景とのことです。

語りかける風景

少し前の時代まで、絵画は世界の窓として見るものに新しい発見と想像を与えてくれていました。描かれた街や見知らぬ風景は、旅心を誘い、そこに暮らす人々との出会いを期待させます。それは、展覧会のテーマである、まさに語りかける風景です。

この展覧会では、写実主義から印象主義に変化する時期の作品が中心に集められ、6つのパートに分割して紹介されています。窓からの風景、人物のいる風景、都市の風景、水辺の風景、田園の風景、そして、木のある風景です。

ストラスブールは、フランスとドイツの文化が混じり合う文化都市だそうです。だから、最先端を行くのフランス的な要素とドイツ的なアカデミックな感じを受けたように思います。また、意図的な構成なのか、それともドイツ印象だからなのか、印象派と言っても少し控えめな感じのする作品が多かったように思います。

印象に残った作品ですが、ロタール・フォン・ゼーバッハ『雨の通り』が良かったです。雨の降る街角を自然に描いている感じがします。日本でも梅雨の真っ最中であり、もちろん、ヨーロッパの雨と日本の雨はぜんぜん違いますが、雰囲気は似ているのではと思ってしまいます。

語りかける風景
ロタール・フォン・ゼーバッハ「雨の通り、1895」

ロタール・フォン・ゼーバッハ(1853年~1930年)は、フランス人ですがドイツ的な文化が気に入ってか、ストラスブールに定住しています。作品は、ドイツ印象派と言われていて、『雨の風景』のようにアカデミックな要素を含んでいるようです。

知らなかった画家に出会えるは、本当に楽しいものです。展覧会は、全体的に見ると可もなく不可もなくという内容ですが、行けば必ず何か新しい発見があるので、やはり見逃すわけにはいきません…

※Bunkamura(2010年5月18日~2010年7月11日)