Asagi's Art News





好きになれば良い ~ ワシントン・ナショナル・ギャラリー展2011年08月14日 23時42分24秒

印象派の展覧会として注目のワシントン・ナショナル・ギャラリー展は、夏休みになってますます盛況という感じでたくさんの人で会場は混雑していました。六本木という地の利や印象派という人気のある作品を集めたことが、人々を集める要因となっているのだと思います。

ワシントン・ナショナル・ギャラリーは、銀行家、実業家とさまざまな顔を持つアメリカの大富豪のアンドリュー・メロン(1855-1937)が集めたコレクションが元になりはじまりました。今年で開館70年にもなる歴史ある美術館なのです。

印象派の作品以外にもダ・ヴィンチなど美術史的に重要な作品を数多く所有している世界的な美術館です。なお、現在、西館にあたる部分の改修をしていることから、印象派の作品を数多く貸し出せるチャンスとなり日本での展覧会が実現したとのことです。

ワシントン・ナショナル・ギャラリー

美術館の改装に伴う展覧会の開催は、常に定石となっていることだと思います。ただ、ワシントン・ナショナル・ギャラリーでは、作品寄贈者の意向により他の美術館に作品を貸し出す場合、年間の作品数などの制約があるそうです。今回は特別にその制約をかなりゆるめたようで、大人の約束があるとしても日米の美術館がかなり頑張ったと思います。

さて、展覧会の展示ですが、印象派の作品ばかりでなく印象派につながる作品や印象派と同時代のバルビゾン派や写実主義の作品、印象派を発展させたポスト印象主義の作品までカバーする19世紀美術の変化を楽しむことが出来る構成になっています。もちろん、印象派の作品は、画集でしか見たことのないような大作がいくつも揃っています。

貸し出し制限のある常設コレクションは、エドゥアール・マネ(1832-1883)『鉄道』、フレデリック・バジール(1841~1870)『若い女性と牡丹』、クロード・モネ(1840-1926)『揺りかご、カミーユと画家の息子ジャン』と『日傘の女性、モネ夫人と息子』、ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841-1919)『踊り子』、

そして、メアリー・カサット(1844-1926)『青いひじ掛け椅子の少女』と『麦わら帽子の子ども』、ポール・セザンヌ(1839-1906)『赤いチョッキの少年』、ジョルジュ・スーラ(1859-1891)『オンフルールの灯台』の9点。これらは、テーマ毎に配置されていて出会うたびに感動することができます。

常設コレクション以外にもフィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)やアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック (1864-1901)の良い作品がたくさんあって驚いてしまいますが、どれかひとつだけ選ぶとしたら…今回はルノワールの『踊り子』にしたいと思います。

ワシントン・ナショナル・ギャラリー
ピエール=オーギュスト・ルノワール「踊り子、1874」

この作品は、1874年の第一回の印象派展に出展した記念すべき作品です。当時の評価ではデッサンが出来ていないなど酷評を受けた問題作です。確かに無骨的な感じもありますが、踊り子の表情や身につけているクラシック・チュチュやトウシューズの配色や色の混ざり具合は、心に残るまさに印象表現と言えます。

ルノワールは、幼い踊り子の自信と不安を画面に引き出しています。彼女の視線は、見る側の心にまで届くように思います。印象主義を学術的に理解することは、けっこう難しいことだと思いますが、心で受け止めることは容易なことなのだと思います。そこにいる彼女を見つめ、彼女を好きになれば良いのです。

※国立新美術館(2011年6月8日~2011年9月5日)

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_ KATHURA WEST - 2011年11月19日 10時00分42秒


印象派とポスト印象派の作品から、日本初公開作品約50点を含む全83点を展示。
観たかったのは。マネとセザンヌ。
会場でよかった、これは《得した!》と思ったんは、シスレー、ピサロ、そしてスーラー。

まず、ポスターに採用されているゴッホの自画像。ぐるりと回って、一番最後に《おつー》とご対面になる。この作品、かなり色褪せた印象を受けた。制作当時は色彩が輝くばかりの激しい絵ではなかったか。白いバラの絵もあったが、これは完全に《レッド》がはげ落ち、《白いバラ》になっている。これだけ色彩に損傷があると、《ゴッホの絵は淡白になる》。はや描きの未完成さが逆に顔を出す。ゴッホの名声は情熱な色...