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今夜はお洒落に ~ インゴ・マウラー展2006年07月25日 00時43分13秒

夜は暗い闇とともに訪れるが、電気の明かりは本来人間の抱く恐れや不安から解放していきます。生活に溶け込んでいる蛍光灯は、あたりを昼間のように照らしてくれますが、大切な何かを忘れさせるような感じがします。

同じ電気の明かりでも電球がもたらす明かりは、なぜか落ち着きがあるのはとても不思議です。ほのかに黄色い優しい光を放ち、良く見るととても可愛い形をした電球・・。インゴ・マウラーは、そんな電球を用いた照明デザイナーと聞いていました。

オペラ・シティのL字形の空間にどのようなインスタレーションを組み立てるのかとても興味がありました。印象を簡単に言えば、前半は照明スタンドを中心に工房のような雰囲気、そして、中間にやや大きめの作品を配置し見るものに変化を与え、後半には、LED照明の作品も加えお洒落なレストランのような感じのするインスタレーションが続いていました。

異空間にいるようなデザインではなく生活の中に溶け込むような柔らか作品が多いような気がしました。「Birdie」は、電球に羽が生えていて小鳥をイメージしているようにとても可愛いです。

Birdie
インゴ・マウラー「Birdie、2002」

電球のほのかな明かりが小鳥の心臓のように思えてまるで生きているようです。金属とガラスに命があるかのように思える不思議な作品です。こんな照明のホテルやレストランがあったら楽しくていいと思います。きっと、お洒落な夜を演出してくれるでしょう。

展示全体を通して見るとその工夫のあとが見て取れるのですが、インスタレーションとしてのインパクトが足りないようにも思えたのは残念です。もしかすると、こう感じたのは梅雨という季節も影響してるのかもしれません。

空調が管理されているとはいえ、電球とその熱が多少蒸し暑つさを感じさせてるような気がしました。きっと、季節が冬で空気が冷たく澄んでいたとしたらもっと素敵に感じることが出来たかもしれません。

※東京オペラ・シティ

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